ばとろぐ担当をします、市村宏文(エルスト)です。
今回はトルコの住宅建設についてお話しします。
トルコと言えば、アジアとヨーロッパにまたがる国として多くの観光地や遺跡を持ち、また親日国として知られています。(現在、映画も公開されていますね。)
しかし当然ですが、そこには普段の生活があり、普通の住まいがあります。その住まいの造り方が日本とは違うようです。
首都アンカラの郊外に大規模な住宅地があります。そこは30年程前に宅地開発され約1,000戸の住宅用地が販売されました。しかし、市街地からの道路が未整備だったためか、建設は進んでいませんでした。2005年のEU加盟交渉と偶然重なったのか、それ以降に急速にインフラ整備が進み、2004年は狭い未舗装の農道でしたが、2007年には4車線の道路に変わっていました。この住宅地の周りにセキュリティー付の高級住宅街が幾つも建設され、住宅地内にもようやく住宅が建ち始めました。
その住宅地内を見て歩くと日本では見られない光景がありました。 工事途中、構造躯体のまま放置されています。左はコンクリート打設後、型枠を外したままです。右はそこに断熱ブロックを施工した所まで、内部に雨が入らないようにペントハウス部分には仮設の屋根がつけてあります。雨だれや断熱ブロックの壊れ具合から、放置されて何年も経っているのが分かります。建設中止で放置・・・と思いましたが、結構これが普通の様です。
日本では、設計完了後に施工会社へ見積を依頼し工事契約をします。施工会社は契約の工期で工事をして、施主は契約の支払いが出来るように費用を準備します。工事期間は4〜10ヶ月くらいでしょうか。すこし巾がありますが、いつ頃には新しい住居にすめると目途がたちます。しかしトルコでは工事工程毎の支払いの様で、費用が準備できたら工事を依頼します。ですので、着工から完成までには3〜4年掛かっても珍しくありません。どうも住宅建築に対する時間的感覚が全く違うのでしょう。これについては機会があれば聞いて見たいと思います。
家の配置が隣地側に寄っています。 隣が建つと壁を接しての「ニコイチ」になります。これはイギリスで建てられた郊外型住宅のバイ・ロー・ハウジング(条例住宅地)の考え方がベースになっていると思われます。理由は、壁を共有することによる工事費の削減と、街並みの一定のボリュームを確保するためです。隣が全く違うデザインで建築したらどうするのだろう・・と思いますが、あまりその疑問は無いようです。ただ、現実にはこの近所でニコイチの住宅は見当たりませんでした。まだ土地が空いているので、わざわざこの様な土地を購入する必要が無いのかもしれません。もちろん、資金があれば2区画を購入し建てることは出来ます。
住宅は国、地域によって、それぞれの工法や住まい方があります。日本でも同じ事が言えますが、新しい生活スタイルは似たようなものになって来ています。畳の部屋が無くなっているように、トルコ独特のスタイルも薄れてきています。世界中の情報が瞬時に受け取れる世の中なので仕方ないことでしょうが、どこに住んでも代わり映えしないのは、なにか寂しいですね。
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市村宏文 ばとろぐ記事