美意識3@河辺近

美意識3

 茶室「待庵」は、千利休の美学の一つである「どこにでもあるとても粗末な一見つまらないもの(素材や色彩)で面白いものを創る」という思想によって建築されている。「待庵」は最後の仕上げを行わずに藁苆(わらすさ)の出た中塗りの土壁や、銘木とは程遠い大きな節が3つもある床框、赤太や白太がまざり木目の流れた床柱などによって構成されている。どうして、これだけ粗悪な材料で「待庵」を造らなければならなかったのか。それは、自分への挑戦でもあり、独自の美学を絶対に信じ切った創造活動であったに違いない。また、池坊専応の「花を生けずして花を生けよ」の美学、そして定家の「見渡せば、、、、」のそこにない花によって、みすぼらしい浦の苫屋を目に美しく見せるのではなく、心に美しく見せようとしたものである。
銘木・銘土・銘石といった美しい材料で美しい建築を造ってみたところで、美しいのは当然のことであり、自分の力で勝ち得た美ではない。神によって与えられた美しい素材に頼った美しい建築が、勝手にできたと言っても過言ではない。本来、千利休の思想からすれば、銘木・銘土・銘石とはごく普通の材料のことである。しかし、今では表面的に美しい材料へと移行しており、そこに問題がある。そこを見ている目に頼らず心に呼びかけ背景を読み解くことが大切なのではないだろうか。


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