「土地探しの段階から建築家に相談するメリット」@七島幸之+佐野友美

「まず土地を購入して、その後、建築家や工務店・住宅メーカーなどを探す」・・・これが、世間一般で考えられている家づくりのプロセスだと思います。
しかし、実は、土地を購入する前の段階から建築家に相談すると、より満足度が高い家づくり、家族の個性やセンスを生かした「我が家」ならではの家づくりの可能性が広がるといえます。
今回のコラムでは、その理由を簡単にご説明したいと思います。

  1. 土地探しのコンセプト
    家づくりの動機は人それぞれですし、どのような家を建てたいのか?というイメージも、施主によって異なります。まずはエリアを特定して土地探しを始めることになりますが、家族が持っている希望やライフスタイルのイメージを実現するためには、何を優先してどのような土地を探すとよいのか?建築家であれば、家づくりにまつわる様々な経験から、的確なアドバイスが可能です。
    例えば、木造3階建てのガレージハウスを建てたいお施主さんには、建物のボリュームを確保しやすく自動車車庫を設けやすい「北側道路で間口の広い土地」をお勧めしますし、明るく開放的な家を希望されるお施主さんには「若干狭くても、南側道路で周囲に緑が多い土地」をお勧めします。
  2. 土地と建物のコスト配分
    家づくりの総予算に対する、土地と建物のコスト配分も重要です。土地にお金を掛けすぎて家に掛けられるお金が残らない、という笑えない話も他人ごとではありません。施主が漠然とイメージする「マイホーム」が実際にどの位の規模の建物・土地で実現できそうかを見極めます。条件ぴったりの土地だからとついついコスト配分が破綻しそうな土地に手を出しそうになったり、「マイホーム」の夢が大きくなりすぎて予算と乖離してきたりしそうな場合、建築家であれば、トータルな視点に立って、全くそれまでのやりとり・発想とは異なるマイホームのイメージを提案することも出来ます。
    例えば、世間一般には「旗竿敷地」というのは日当たりの確保が難しく、その分若干値段が安いのですが、建築の空間構成のテクニックを駆使することによって室内の快適性を確保できると判断できる場合には、あえて土地コスト削減のために「旗竿敷地」をお勧めしたりします。
  3. 実際の土地の分析・検討
    理想よりは若干狭いけれど、予算内の価格の土地が見つかったとします。この土地が自分たちにふさわしい土地なのか、施主自身がすぐに判断することはかなり困難であると言えます。判断がつかないまま迷っているうちに、他の人に売れてしまった・・・土地探しをする上でよく聞く話です。また、求めるエリア内で同価格帯・同面積の土地が複数見つかったとします。この場合、一体どちらが自分たちのマイホームにふさわしい土地なのか・・・限られた時間のなか、一般の施主に判断を強いるのは酷というものでしょう。
    建築家であれば、土地のチラシに記載されている「用途地域、高度地区、許容建蔽率・容積率」などの情報を踏まえて、その土地に実際にどの程度の空間ボリュームを確保できそうか?周辺環境を踏まえて明るい庭が作れそうか?施主のライフスタイルにフィットする家が建ちそうか?町の雰囲気はどんな感じか?・・・様々な観点からチェックをして、複数の土地の場合にはそれぞれを比較検討して、施主にアドバイスをすることができます。
  4. 土地購入の決断
    これまでみてきたように、建築家は様々なかたちで、施主に対して土地検討のお手伝いをすることができます。しかし、最も重要なのは、当たり前のことなのですが、土地購入の最終判断は、施主自身が下すものであるということです。
    ですが、安心してください。建築家と何度かやりとりしながら土地探しをしてきたお施主さんの土地を見る目は、かなり肥えているはずです。理想のマイホームのイメージも、当初よりはっきり頭に浮かんできているはずです。建築家に後押ししてもらいながらも、お施主さん自身が自信を持って決断してください。
    無事に土地を購入できたら、いよいよ具体的な家づくりがスタートです!