「設計事務所に遠距離移動をお願いする時に」 @石川利治

昨年の秋に大津市で進めておりました住宅のお引渡を行いました。無事にお引越も終えた後に、お施主様のご厚意に甘えさせて頂き、お料理好きな奥様の手料理をご相伴にあずかりました。
製作したオリジナルのダイニングテーブルに着いて、とても美味しいお料理の数々を頂きながら、オーダーキッチンの使い心地にご満足頂けている様子等をお聞きするなど、設計者としてこの上ない幸福な時間をすごさせて頂きました。

弊社は東京で事務所を構えておりますが、住宅に関しては他府県でのお仕事を幾つか頂いております。今回の大津は最も遠方になりましたが、それ以前に長野県、栃木県などの建設地での設計・監理を行って来ました。
住宅を建てる際には、多くの物事を確認し、話し合いながら決定してゆく作業が必要になります。
以前に比べればデータのやり取りに自由度が増したので、確認作業も楽になりましたが、重要な内容に関してはどうしても対面での打合せが必要になります。
お施主様のお住まいや建設地の場所によっては、移動距離が長くなる可能性もありますが、この確認作業はどうしても無くす事ができません。
お施主様と建築設計事務所が契約を結ぶ時に、この移動に伴う費用はどの様に定義されているのでしょうか?これに関しては、[ 国土交通省告示15号 ]の中で業務報酬の算定方法が定められています。

業務報酬は、設計・監理といった住宅そのものを造る事に直結する「直接人件費」とそれに伴う「経費」の合算になります。
この「経費」の中には業務を行う上で必ず発生する「直接経費」とは別に「特別経費」といった項目がうたわれています。
一般的な近距離の交通費に関しては「直接経費」の中に含まれるとされていますが、出張旅費に関しては「特別経費」として別途計上する様に定められています。

では、出張旅費と近距離の交通費の境目は、どこにあるのでしょうか。
実際には距離の判断基準に明確な決まり事が無いため、一般的な世の中の出張規程に則り、およそ100kmを目安とし、それを越える場合は、出張旅費などをご請求させて頂くが多いのではないでしょうか。
弊社の場合は、これらを実費清算する事が多いので、出張を行う際にはその目的と必要な時間、宿泊の有無等をその都度ご確認頂いております。設計段階での打合せは、弊社で打合せを行う事もあり、案件によって出張回数などは異なりますが、現場監理に関しては、確実に現地確認を行う事になります。
今までの経験から、現場確認は概ね2回/月ほど行う様な頻度になります。
例えば、工期が7ヶ月であれば、概ね15回の現場確認を行う事になります。
現場の初期段階では訪問頻度は減りますが、現場後半の仕上げが絡む期間は、現場も日々様子が変わって行くので、多くの時間を割く事になります。
設計した内容が現場で反映されているか、また不測の事態にスピード感を持って対応できるか、現地でしっかり確認する事は、よい建物をつくる上では何よりも重要な事と感じております。