「収納について」@髙野洋平

家づくりを考える時の重要な要素に収納があると思います。収納量を増やしたいという事は多くの方に共通する希望だと思いますが、よくある落とし穴について話したいと思います。それは「ウォークインクローゼットを採用すると収納量が減る」ということです。ショッキングかつ不思議に思う方もいらっしゃると思いますが、建坪を決めてプランニングする場合、ウォークインクローゼットを採用すると家全体での収納量は減ってしまいます。ウォークインは人が入り込める様に、物を置けないスペースを作っているわけですからどうしたってそうなるのですが、見た目に大きな収納が出来るので収納量が増えたと勘違いしてしまうのです。玄関脇のシューズウォークインクローゼットも同じで、人が入る分収納量を減らしています。至極普通の作り方になりますが、ウォークインをやめて収納が部屋や廊下に面しているように計画した方が、使いやすい収納を多く確保できる事になります。

収納量を増やしたいとか、ウォークインクローゼットは沢山収納出来ると考えていらっしゃる方は、家づくりの際にこのことを少し考えて頂くと良いかもしれません。

もちろんウォークインクローゼットには、とりあえず詰め込めるみたいな安心感がありますし、突発的にものが増えても吸収出来る恩恵もあります。全ての洋服を一度に眺められるのも、捨てがたい魅力です。

「出来るだけトータルの収納量を減らさずに、ウォークインクローゼットを実現したい」

もしそう考える方がいらっしゃいましたら、収納の奥行きを見直すと良いと思います。収納が必要以上に深い場合、使わないスペースが生まれています。それをカットして詰めれば、裏側に浅い収納を作れるかもしれません。たとえばクローゼットの奥行きは有効で600あれば十分なのですが、日本の木造は910グリットなので奥行きを余らせている可能性もあります。そういったスペースを活かすことを考えると良いでしょう。収納内部を細かく仕切ることも、整理しやすくなるために、沢山収納出来る様になります。収納量を増やしたい時は物に合わせて出来るだけ浅い収納を作ること、内部を仕切り整理しやすくすることが効果的だと憶えてください。

もう一つ魔法のような方法があります。それは廊下の短縮です。廊下は動線そのものなので簡単ではありませんが、廊下が2m減ると収納が2m増えると想像してみてください。その効果は絶大です。

実際3LDK+趣味室のような構成でほとんど廊下が無いプランを作る事もできます。浮いた分の面積は、収納にしても良いですし、吹き抜けや、部屋を広くする為に使ってもよいですし、逆に建坪自体を抑えてコスト調整に当てる事も可能です。建物全体で調整すると色々な事が可能になってくるのも建築家に依頼するメリットかもしれませんね。

− 最新イベント情報 −

オープンハウス(完成見学会)回遊動線のあるつくばの家 3/20(祝) @石井正博+近藤民子

この度、設計事務所アーキプレイスで設計監理しました『回遊動線のあるつくばの家』(木造2階建)が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 つくば市の新旧入り交じる住宅街に建つ、3人家族のための住宅です。 リモートワークが広まり家で過ごす時間が長くなる中、ご夫婦それぞれの仕事場でもある住まいには、より快適に暮らしていけるよう、ゴロンとできる和室、本棚のあるヌック、子供と遊べる南の庭などの場所をちりばめています。 オープンハウス(完成見学会)...