千石の二世帯住居 旧作への思い @磯村一司+政本邦彦 ギルドデザイン

ギルドデザインは、今年で22年目を迎えました。現在は磯村と政本の2人の共同事務所ですが、もともとは3人で設立した事務所でした。この「千石の二世帯住宅」の設計監理をしていた15~7年前は、まだ3人の頃で、3人が共同して設計コンセプトをまとめていたのを懐かしく思い出します。

設立当初から都内での仕事が多く、狭小敷地や商業地域内の住宅など、住宅として敷地条件が厳しいものが多かったのですが、この家もいわゆる旗竿敷地で、周囲を中高層ビルで囲まれてもおかしくない場所でした。

子世帯からの要望が強かった採光や通風、くつろげる屋外空間、プライバシーという課題に対して、2、3階の子世帯フロアを、細長い2棟が向かい並ぶ中庭(デッキテラス)に、ポリカーボネートの屋根をかけるというプランで解決しました。ポリカーボネートの屋根の下は、陽射しが入り、風が通り抜ける外部空間です。すべての部屋がこのデッキテラスに向かうことで、ここは、プライバシーの高いvoidなcoreとなっています。

特に居間と食事室はデッキテラスを挟んで向かいあっており、全開できる窓を開放すれば、外部デッキテラスを取り込んだ一体の開放空間にすることができます。お風呂にも全開窓があり、涼むためにデッキテラスに出ることだってできます。

1階は親世帯です。南の庭と北の庭、可変間仕切りとしての天井までの障子、開放された欄間などから、コンパクトな居間と食事空間を、広く使っていただけるよう仕掛けしています。

「千石の家」は竣工が2000年で、今年で15年になります。訳あって、我々の設計クライアントはこの家を手放されましたが、引き継がれた方から、補修のための相談がありました。工事をした工務店さんも廃業していましたが、担当した監督さんを紹介して、この夏に補修工事を行いました。15年も経てば補修工事も必要になります。新しいご家族も、この住まいを大切にしてくださっていて、とてもうれしいことです。
住まいを設計するということは、個人の財産を守り、長く関わりを持つことでもあります。そして、自分たちの設計の履歴を振り返ることにもなっています。

「千石の二世帯住宅」はそんなことを考えさせられる一つの住宅になっています。

[初出:31会マガジン Vol.3 2014 AUTUMN THE COLORS くらしを楽しむつくり方]

磯村 一司+政本 邦彦
株式会社ギルド・デザイン一級建築士事務所
東京都渋谷区代々木2-26-1 1桑野ビル1-B
03-3375-3745
https://www.guild-design.com/


磯村一司+政本邦彦ギルド・デザイン一級建築士事務所のコラム】

 

− 最新イベント情報 −

オープンハウス(完成見学会)6/28 明大前の賃貸併用二世帯住宅 @石井正博+近藤民子

この度、設計事務所アーキプレイス(石井正博+近藤民子)で設計監理しました『明大前の賃貸併用二世帯住宅』が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 敷地の高低差を利用して、道路に面した半地下の賃貸住戸を作り、その上に2層の木造をのせ、地下1階地上2階建ての準耐火構造の共同住宅+長屋として計画。建ぺい率や高さ制限をクリアさせ、緩和(天空率,地下緩和)も使って最大限の容積を確保しました。オーナー住戸は、外部空間との繋がりをもたせながら、南東側の広がり...