所在地 | 構造規模 |
埼玉県川口市 | 木造3階建 |
竣工年 | 延べ床面積 |
2024年 | 78.4㎡/23.71坪 |
かつてオート三輪で地元の現場を廻ってご活躍されていたガラス屋さんご夫婦。
さまざまな色や模様のクラシックガラスが遺された、ありし日のお父さまの作業小屋は、さしずめ宝箱のようでした。
その作業小屋の跡地と周りのスペースが、子世帯のお住まいの敷地。
ご実家の建築面積が建坪率違反にならないギリギリの面積で敷地の一部を分割し新築用の土地を捻出し、
最終的にはそこに隣家から購入した土地を合わせた合計面積22坪の敷地。
そこに、木造で3層の床を積み上げた、建築面積8.5坪・延床面積23.7坪の戸建住宅です。
1階に玄関ホール、風呂・洗面脱衣室、トイレ、ウッドデッキテラスとそのまま繋がったマルチスペース。
2階はワンルームのLDK空間。
3階に、主寝室、子供部屋、トイレ、ホールを兼ねた洗面コーナー。
狭小建物は、床の小ささに対して階高が大きく感じられやすくどうしても各フロアが分断されがちですが、
この建物では1階にピアノコーナーを兼ねた踊り場、2階にはダイニングキッチンとリビングの間に腰掛けられるスキップフロアを設けました。
これらの中間レベル、空間を柔らかく区切る段差により、3階建てながら5つの床がそれぞれサイズ・リズムを変えながらスルスルスルッと繋がっていく、建物内の行き来が楽しいシークエンス豊かな建築となりました。
南側隣地が再建築不可の土地ということから将来に渡って平屋隣家の屋根越しに採光が期待できる敷地条件であったので、2階の南側リビングの床レベルをスキップさせて上げ、自然光と眺望に床を近づけました。
最大限確保した天井高、ダイニングのチェアを兼ねた出窓ベンチと、L型に建物からはみ出したリビングの出窓ベンチにより、2階のLDKは建物間口3.6mとは思ないゆったりとした空間。
広々とした眺望を背景に柔らかく自然光に包まれた出窓ベンチは、その側に本棚も設らえられ、おおらかさと居心地良さを兼ね備えた、この家ならではのユニークな居場所です。
1階の玄関とマルチスペースの間仕切り、トイレの扉、3階ホールと階段の間仕切り、階段上部に浮かぶ3階子供部屋のスタディコーナーの窓など、随所にお父さまが遺されたクラシックガラスを活用することにより、さまざまなニュアンスの集合体としての住宅となりました。
photo:Brian Sawazaki Photography / 澤崎信孝
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栗原守+小泉拓也
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