狭小住宅での工夫 @七島幸之+佐野友美

今週の「リレーブログ」を担当します、アトリエハコ建築設計事務所の七島・佐野です。
今年3月末に竣工した住宅『川口の ’Sunny alcove’ house』を紹介しながら、この狭小住宅を計画する上で気にした点や工夫について書きたいと思います。

間口が狭く奥に長い敷地面積:22坪、建築面積:8.5坪、延床面積:23.7坪、木造3階建、夫婦と子供2人の4人家族の住まいです。

1.狭い敷地ながらも外部アプローチは長くし、室内の廊下は無くす
玄関を建物の真ん中に持ってくると外部アプローチが長くなるので、敷地の奥行きが感じられ、また玄関が建物中央にあると室内の廊下部分が少なくなります。

2.玄関は大きく
狭小住宅だからこそ三和土部分を広めにすると、玄関に入った瞬間の印象(=建物の印象)が広く感じられます。

3.光を通すために間仕切壁にガラスを採用
今回は、お施主さんお父様が営んでいたガラス屋さんの倉庫で保管されていたクラシックガラスを多用しました。光を届けてくれると共に、今ではあまり見かけないガラス模様の表情がインテリアのアクセントにもなっています。

4.階段以外の使い方
踊り場には、電子ピアノを置き、下部は階段下収納として活用しています。
ちなみに高さが確保できる階段下はトイレにして、デッドスペースがない計画としています。

5.LDKのスキップフロア
段差があることで、ダイニングキッチン⇄リビングと緩やかにエリア分けができ、その段差部分がベンチにもなり居場所となりました。
また、スキップの段差分、2階〜3階の階段の階段数が減り、その分居住空間に充てることができました。

6.造作キッチン
既製キッチンの場合、そのサイズに合わせるような間取りにする必要があったり、逆に間取りに合わせようとすると隙間ができることがあるので、キッチンは間取りにぴったり合う寸法の造作キッチンとしました。
造作の場合、カウンター素材も面材も設備機器もお好みのものを選ぶことができます。キッチン周りのタイル選びも楽しいです。

7.蹴込み板なしの階段
1階〜2階の階段と2階〜3階の階段を断面的に上下に重ねることで居住空間を確保し、また、2階〜3階階段の蹴込み板なしとすることで、上部からの光を下階へ届けます。
お子さんが小さいうちは、ネットなどで対応します。

8.出窓の活用
ダイニングの椅子として、リビングのソファとして活用しています。
<出窓として認めてもらうためには、諸条件を満たす必要があります>

9.空間の二重使い
3階の洗面はホールと兼ねて、廊下をなくす計画としています。

注文住宅は、敷地条件やお施主さんの家族構成・好みが大きく関わってくるものなので、これらの工夫等が全てではありませんが、なるべく行き止まり感がなく視線が延びていくように、小さいところは小さく・大きく高くできるところはそのように、空間にメリハリをつけたり、光や風の取り入れ方など気にしながら、ミリ単位で計画しています。

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七島幸之 + 佐野友美 ななしまゆきのぶ さのともみ

アトリエハコ建築設計事務所

詩的にシンプルな、それでいてユーモラスな建築をつくりたいと考えています。 要素を削ぎ落とすのではなく、生活の為の設えがさりげない在り方で生活を彩る、シンプルな家。 姿カタチや空間の佇まいに住まい手の個性が垣間見えるような、唯一無二の「生活の容器」を自由で柔軟な発想で追求します。

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