植栽・外構を考える @菰田真志+菰田 晶
今週の「リレーブログ」を担当します、「菰田建築設計事務所」の菰田 晶です。
今回は植栽・外構について考えてみたいと思います。
大切にしたい植栽・外構
家を計画する時に考えること。
動線、家事の効率化、光や風の入り方や通り方、様々な性能、落ち着く居場所、外観、全体のもつ雰囲気など様々ですが、忘れずに大切にしたいのが植栽・外構です。
建物そのもののことではないので、予算が厳しいととりあえず建物本体を考えようと後回しになることもあるのですが、あとからでは効率が悪く費用がかさんだり、希望することが難しくなってしまう可能性もあります。工事は後回しになったとしても、計画ははじめに考えておくのが良いかもしれません。
植栽 管理と魅力
庭・植栽というと、よほど庭仕事が好きな方でない限り、植物少なめのさっぱりとした庭を希望される方が多いです。かくいう私も、現在住んでいる家は義両親が昔住んでいた建物のため、庭仕事の好きな義母がつくった植物のたくさん植えられた庭を管理できているとは到底言えない状況です。今年の夏も暑さと雑務に追われ雑草は伸び放題…。しかし、それでも日常でちらりと見える緑、冬景色の中の色鮮やかな花、春の訪れとともに咲き出す紫や黄色や水色の小さな花々、遊びに来る野鳥の姿を目にすると、ほっこり、にっこりする気持ちになります。ポイントを絞り、四季を通して楽しむことのできる植栽を計画すると日々の生活が少し潤いのあるものへと変化します。
↑春の気配を感じると顔を出す福寿草
↑筍の季節にちょうど新芽が開き出す山椒
外構・アプローチ
外構というとここ数十年、建てられる一般的な住宅は道路際にコンクリートや砕石の駐車場、奥に玄関扉の正面が見える建物がよくあるケースと思います。植栽なしという住宅も多く、ワガヤの周りでも敷地が分割され上記のような庭のない住宅が2軒もしくは3軒建つことが多いです。また畑や雑木林がどんどんなくなり住宅が立ち並び、住み始めた頃には聞こえたウグイスの声が聞こえなくなり、オナガやシメも姿を見せなくなりました。雑木林だけでなく、庭のある住宅がなくなると鳥たちも点々と移動してくることができなくなるのだなと寂しく感じています。
↑摘み草を飾る楽しみ
↑以前ベランダにやってきたシメ
しかし、ここ数年植栽が魅力的に配置され地区として計画されている建売住宅(分譲住宅?)も目にするようになってきました。外構を街全体としてつくっていくと、個々の住宅だけでなく地区や街がぐっと魅力的な姿になっていきます。
そして家の玄関扉にたどり着くまでの動線もとても大切です。敷地の形や大きさにより、玄関を趣ある姿となるよう配置することが難しいこともありますが、一捻りされたアプローチのある住宅は魅力が何割も増して見えてきます。
↑「桜区の家」の玄関まわり
植栽:en景観設計株式会社
↑「本郷町の家」の玄関まわり
撮影:新良太
上記は菰田建築設計事務所で計画した住宅ですが、長いアプローチ動線をとることが難しい場合でも、ちょっとした空間の取り方や向きにより大きな変化が訪れます。建物の中だけでなく外からの視線、関係性を考えて家づくりを計画できると楽しみがより大きく膨らみます。
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「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...