建物にまつわる書類の話2 @菰田真志+菰田晶
今週のリレーブログ担当の菰田建築設計事務所の菰田真志(こもだまさし)です。
今回は引き続き、皆様の大事な資産である建物に関する資料の話です。
昨日は図面の話を書きましたが、今日は申請書類の話です。
申請書類
ほぼすべての建物に必要な申請書類として確認申請があります。
経験上これが無いことはあまりなかったと思います。
確認申請書と確認済証。
この中に法的な内容や簡単なものですが図面が入っていますので、あれば概略は判断できます。
ただ、これの対になる書類として完了検査済証というものがあるのですが、実は古い建物だと無いことが多いのです。
そしてこれが高いハードルになることがよくあります。
昔から本来受けないといけないものだったにも関わらず、住宅で完了検査なんて受けなくても全く問題ないという時代があったので、当時の時代の流れとしてしょうが無いのですが、だいたいに20年程まえからはほぼすべての建物が完了検査を受けるようになっています。(きっかけは完了検査済証がないと銀行融資がおりなくなったからというのが大きいかと思います)
そして現在は、完了検査済証がないと既存建物を増改築等をするにあたって再度確認申請することのハードルが非常に高い状況があります。
もちろんできないわけではないのですが、いろいろと越えないといけないことが多く、設計者の努力だけではままならないことがあります。
どういうことかと言うと、完了検査済証がないかわりとして既存建物の法的なチェックを建築士が行ってこれを証明する必要があるということです。ここには構造も関わってきますので、昨日話をした構造図さえない場合には現実的でない場合が多いです。
そして完了検査済証がない場合に多いのが、建物が確認申請と違う内容になっていることがあることです。
一部分だけであればなんとかなるのですが、建物の大きさや外形までちがうと、もうどうしようもなくなってしまいます。
もう個別の対応になるので、こうだったら大丈夫とは言えないのですが、これから間に合う方は、建物を建てたときに申請した書類はきっちりと揃えて引き渡してもらい、建物のあるかぎり保管していただきたいと思います。
今後、中古住宅を購入してリフォームをご検討の方は、ぜひそういった建築にまつわる書類があるのかないのかをよく確認することをおすすめします。
自分では判らないと思った方は不動産屋さんと並行して、意中の設計事務所に相談されることをおすすめします。
簡単ですが、建物にまつわる書類の話でした。
ありがとうございました。
(有)菰田建築設計事務所 菰田真志+菰田晶
HP http://www.archi-komo.co.jp
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