建築家と建てる注文住宅の楽しみ方@幸田真一
今週のリレーブログを担当する幸田真一建築設計事務所の幸田です。
今日は設計の中でデザインのきっかけとなる着眼点のお話をしたいと思います。
住宅をデザインするとき、敷地環境やその場所にしかない、特異の要素に影響を受けてデザインがまとまる時があります。
弊社で手がけた、都内の農家の大きな敷地内に子世帯用の住宅を依頼された時もそうでした。
設計を始める前に訪れた敷地の写真がこちらです。
写真手前に映る古くなった農具小屋を取り壊し、10メートルの高さはあろうかという保存樹木を避けながらの配置計画。
昔の門の跡形がそのまま残っていたり、その奥には白い蔵が写っています。
近くで見る蔵はそこまで大きくはありませんが、壁と屋根の構成がとても美しい形です。
初めて敷地を訪れたときのこの屋根勾配の印象が無意識のうちにデザインに影響を与えていたのかもしれません。
敷地内でこの蔵と対面する位置に計画する住宅は、この蔵の存在と自然と馴染み、
既存の石畳や保存樹木の中に佇みたいなあと考えました。
提案した住宅は、白くシンプルな家形のシルエット。
石畳を挟んで新旧の建物が向かい合うこの空間が素敵な雰囲気になりました。
一方で、蔵とは反対の子世帯庭側の外観はセメント板やガラス手摺、ブラックカラーで素材感の対比を感じれるようにメリハリをつけています。
庭で振り返ったときに自分の家を見てニヤついちゃうようなコーディネイトを狙いました。
建築家と建てる注文住宅だからこそできる家づくり。そんな醍醐味が感じられる事例でした。
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