建物にまつわる書類の話1 @菰田真志+菰田晶
今週のリレーブログ担当の菰田建築設計事務所の菰田真志(こもだまさし)です。
今回は、皆様の大事な資産である建物に関する資料の話です。
最近、建築費の高騰もあってか、リフォームの話をよく聞きます。
まだ使える建物を建て替えず、リフォームして現在のライフスタイルにあわせて変えてゆくという今までもずっとあった方法ですが、最近の建物は建物性能もあがり長期に渡って住まうことも意識されてきていますので、今後ますます増えてゆく手法だと思います。
リフォームを思い立つきっかけは様々でバリアフリー化だったり水廻りの更新だったり、家族構成の変化だったりとイロイロありますが、いざはじめてみるとその建物自体の問題の前に、書類の話で躓くことがよくあります。
そういったお話をちょっとさせていただこうかと思います。
書類。
建築関係の書類としてすぐにイメージできるのは建物の図面です。
平面図・断面図・立面図などなど基本的な図面はなんとなくイメージがあると思います。
ただ、これをリフォームする前提で考えると上記の図面だけではちょっと(まったく)足りないと毎回思います。
毎回あったらよかったなぁと思う図面をあげてみます。
【意匠図】
仕上表 各階平面図 立面図 矩計図(断面詳細図) 断面図
【設備図】
給排水設備図 電気設備図
【構造図】
基礎伏図 各階伏図 部材リスト 構造計算書
ほかにもイロイロありますがこの程度揃っていると最初の話がとってもスムーズです。
もちろん最終的な図面であるべきですが、多少変更があってそれが更新されていなくても無いよりはずっと良いです。
しかし、ここでほぼと言っていいほど出てこないのが構造図です。
たいていの家では柱や梁は見えなくなっていますので、構造図がない場合には床下や屋根裏に入り込んだり、天井に点検口を作って天井裏を確認したりして図面を作るのですが、非破壊ではすべては確認できないことがよくあります・・・というよりほぼ不可能です。
そうすると、構造の変更を伴う計画ができるのかできないのかが判断がつかず、計画できる内容が狭くなってゆきます。
お金と時間をかければできないこともないのですが、設計者の作業や施主様の費用負担など予想外の負担がかかることになりますのでなかなかそこまでやれないというのが現実です。
設備図はあれば嬉しいですが、現在の水廻の位置や外部の配管等を確認してゆくことでなんとなく判断ができることが多いです。
平面図は地道に測ってゆけば既存建物の平面図を作ってゆくことができますが、構造図がない場合には柱があるかどうかの確信が持てない場合もあるので、きっちり柱の位置の入った平面図があるとちょっと安心します。手間も省けます。構造図がない場合に筋違の位置が平面図に入っていると参考になることもあります。
矩計図(かなばかりず)は詳しい断面図です。高さ関係や仕上げなどが図面に記載されているので非常に重要な図面です。これもあると役に立ちます。
多くは古い建物だからリフォームと言う話が出るわけですが、古い建物ほど図面は無い事が多く、しかも今更過去に遡って手に入るものでもないので、無いものはしょうがないですが、今後家を建てることを考えている方、今建てている方はぜひ建物の引き渡しのときには、竣工図(最終的な図面)をもらうようにしてください。現在だとCADデータも含めて電子データでもらうことが多いですが、多少場所をとっても紙のデータも貰っておくことをおすすめします。(30年後に電子データが見られる保証は無いので・・・。)
そして、建物がある限り保管することをおすすめします。
あたり前のような話ですが、以外ときっちり揃っていることが無いので、ご注意ください。
明日は申請書類に関して書こうと思います。
こちらも非常に重要です。
(有)菰田建築設計事務所 菰田真志+菰田晶
HP http://www.archi-komo.co.jp
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