土地のマイナスを設計デザイン力と工夫でプラスの家にする

(前編)からの続きです。(後編)では周辺相場よりも安いマイナス要素を持った土地を購入してどのように建物を建てたのかを実例で紹介したいと思います。

前編で一枚の敷地写真を貼りましたが、この土地に計画した斜面住宅を紹介します。敷地の北西には花見川という川を背負い、その川に向かって急ではありますが斜面状の林があり、そこを抜けて行くと親水空間であるサイクリングロードと川にアクセスができるような環境でした。宅地を販売している業者は5m〜6mくらいの擁壁を建てて平地にして販売しようとしていました。そうなると北西の緑はほとんど感じられなくなる上、川とは心理的にも物理的にも断絶されてしまいます。つまりその環境からスポイルされて、どこにあっても変わらない土地になってしまいます。せっかくのこういった環境なので、出来ればそれをマイナス要素ではなくプラスにしていきたいと強く思ったのです。

そこで擁壁を立てる工事費を引いた金額で土地を購入する旨伝え、斜面に寄り添うような計画を提案したのです。建物を機能毎にブロック状にして段々に配置することで下階の屋根は上階のテラスに利用し自然を感じる居場所として機能します。私たちはこの家を「スキップガーデンはうす」と名付けました。

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スキップガーデンとすることで川や緑といった自然環境との接点が大幅に増し、北西ながら魅力的な環境を創出できました。室内に入ると北側いっぱいに設けた開口部からこれでもかと緑が飛び込んできて、まるでどこかの別荘のような佇まいです。しかも林によってサイクリングロードからの視線は一切入らずにプライバシーはしっかりと確保されます。上階に上がれば川をパノラマ状に見下ろす眺望を享受でき、家のどこからでも自然を感じます。このような考え方が評価され、2015年千葉市都市文化賞にて建築文化部門入選を頂きました。

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というようにマイナス要素を持った土地でもアイデアを駆使して適切な設計をすれば問題を魅力に昇華させることができます。さらに言えば、それほどマイナス要素を持っていない土地であっても、その周辺環境をしっかりと見極め、住まい手が求めているライフスタイルをちゃんとデザインして設計するともっともっといい住環境になるはずです。つまり住空間にとって大事なのは土地の価格ではなく、設計力や提案力なのです。

土地の購入を考えている方は是非建築家と一緒に土地を見てください。思いも寄らないアイデアが出てくるかもしれません。きっと販売価格とは違う土地の評価基準が感じられると思いますよ。

鈴木恵介
(株)空間計画提案室

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