13坪狭小敷地に超過容積率分を吹抜けにして明るく風通しの良い開放的な木造3階建住宅設計
周囲を家に囲まれた狭小地の木造3階建てのアイデア住宅を模型と写真と設計者本人で説明します。是非この機会に皆様の家づくりのアイデアに参考としてください。
1.フレームワーク
戸建住宅やアパートなどが建ち並ぶ昭和の風情が残る住宅地のなか、間口約4メートル・面積約14坪の敷地に建つ、4人家族の為の住宅です。
限られた敷地のなか、何よりもまず、 生活空間を最大限確保することを優先しました。
敷地は、許容建ぺい率60%、許容容積率は前面道路の幅員より160%。
そこで、まず建物の全体の大枠を、 建蔽率(60%)の床を3層積んだ180%分の面積の建物ボリュームとして設定しました。その中で、許容容積160%を超過する分(20%)の面積調整においては、 床面積の削減により、むしろ内部空間に豊かさがもたらされるような方法を探りました。
・2階ダイニングキッチン上部の吹抜
・1階玄関前アプローチのポーチ
許容容積160%を超過する分(20%)の面積調整において出来た、これらの空間。 建物に光と風の通り道を作り出し、周辺環境との間に一定のゆとりを作り出す効果をもたらすと同時に、この住宅の個性を担っています。
2.オープンプラン
「本町の住宅」の設計において、開放的で気持ちよい生活空間をつくるために、心がけたことは、間仕切りを極力排した、それぞれの場所がすーっと連続していくプランです。 そういう大らかな空間の作り方をすると、日常的な様々な行為の際に、窮屈な寸法を感じなくて済むので、ストレスがありません。
・階段が建物中央に配置された、廊下が不要な空間構成
・螺旋階段がそのまま部屋に呑み込まれたような、連続するような床の設え
・建物の幅をそのまま部屋の大きさとして感じられるような間取り
それぞれの細かい工夫は、書き出してみるとそれほど特別なことではないのですが、結果としての空間の総体は、 建物内を移動する度ごとに感じられる、この住宅ならではのシークエンスの楽しさと、空間の連続性がもたらす一種独特のバリアフリー感。
これらは、なかなか他では得難いものになったのではないかと思います。
3.屋根と床に穿った穴
建物周囲三方を高さ10M以上の隣地建物に囲まれている敷地条件。 外壁に窓を設けても、隣地建物との間の空間が狭くなってしまうので、有効な採光が期待できません。
そこで目をつけたのが屋根。
自分の家の屋根の北側部分は、隣家の日影に入ることがほとんどありませんので、ここから光を取り込むことを考えました。
更に、屋根に設けた天窓の直下には、吹抜けを設置。 天窓と吹抜けをワンセットで活用することにより、取り入れた自然光をまるごと、2階のダイニングキッチンに導きます。
天窓を開けると、天井高さ5.5Mの空気の温度差により重力換気も促され、 家全体に空気の流れが発生します。
そうやって、完成したインテリア。 通常、建物の北側奥は薄暗いものなのですが、 この住宅では明るい陽射しが射し込んでくる、快適な空間になりました。
建物北側奥の白い壁面のレフ板効果により、照度を抽出されたような柔らかい光。
少し大袈裟ですが、 住まい手が「世界の中心」と感じられるような空間になったのではないかと思います。
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「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...