狭小住宅において、窓辺の居心地を高めることにより、省スペースと快適性を両立する工夫 @七島幸之+佐野友美
photo by Brian Sawazaki Photography
新型コロナウィルス感染予防の為に自宅で過ごす時間が長くなっていて、
皆さん、自宅の快適さの重要性を再認識されているのではないでしょうか。
光や風を取り入れ、外の景色を切り取る窓は、
家の中にいて「外」を感じられる、とても大切な家の要素と言えます。
今回のリレーブログでは、私共が設計した狭小住宅の、窓周りを居場所にした事例をご紹介したいと思います。
photo by Brian Sawazaki Photography
この住宅は、建物の間口が2.7m、高さが9mの木造3階建です。
1階の玄関奥には寝室ゾーンがあるのですが、その一角に位置する、トイレの手洗いを兼ねた洗面台。
コンパクトながら、窓から朝日が入ってくる、気持ちのよいコーナーです。
photo by Brian Sawazaki Photography
2階には、南側の隣接する公園を見下ろす窓際にリビング。
そこから階段3段分のスキップフロアを上がったところがダイニング・キッチン。
photo by Brian Sawazaki Photography
幅が2.7mのとても小さな住宅でしたので、省スペースの為に、出窓にベンチを設えました。
小さなスペースではありますが、明るく光に包まれる居心地の良さが心地よい、必要十分なダイニングスペースです。
隣地境界線と建物外壁との間の隙間を利用した出窓の出幅は約30cm。
出窓先端のサッシの内側に、ブラインドと背もたれ。
ベンチの座を外壁内側から15cmほど飛び出させており、座部分の奥行寸法は40cmを若干切るくらい。
コンパクトながら、お尻の座りの良いベンチです。
photo by Brian Sawazaki Photography
狭小敷地の場合、敷地の制約により建物の大きさが決まってきてしまいがちです。
ですが、今回ご紹介したのは、その制約を守りながらもそれに縛られすぎることなく、
条件が許容しうる範囲で少し外側へグイッと押し広げて、居ごこち良い場所に設えた事例です。
住宅の空間というのは、均質であるよりも場の雰囲気に濃淡・粗密のような偏りがあった方が過ごしやすいのではないか、と考えています。
窓辺のコーナーの親密さ(コンパクトさ)が、その他の部分で最大限に獲得する視線の距離・抜け(長さ・大きさ)を際立たせ、
結果的に住まい手が家の中に自由を感じることが出来るような空間の在り方=豊かさを目指して設計をしています。
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