都市住宅で、内部空間を開放する(1) 「天井の無い家」 @田中功一+佐藤美欧
今週のリレーブログを担当します「378A」の田中功一です。
テーマは、「天井の無い家」です。
都心の一戸建住宅の計画では「庭」を諦める方が多く、残念に思います。
理由は、敷地が広くない、近隣との関係、庭の手入れが面倒、日が当たらない等、様々です。(現在のコロナ禍による外出自粛となると「庭」の存在は重要です。)
昨年、完成した「2世帯8人家族」の住宅でも同じ様な状況でした。
庭を設けることよりも、内部空間を出来る限り大きくしたいとの要望がありました。
このことが、内部空間を豊かにする探究へと繋がりました。
まず、「天井を無くす」ことにしました。
天井の仕上げ材、吊り材、作業手間を削減することによってコストダウンにもなります。
天井を無くすことにより、1.8m~4mの「吹抜け」が誕生し、
構造材となる木材は、仕上げをせずに素地のまま活かしました。
その素材感は、立体感、奥行き感を演出し、照明を「小屋組み」に向けることによって、
さらにその立体感、奥行き感が増します。なお、断熱方法は「外断熱」です。
また、隣接する「寝室」の天井高さを2.1mと低めにして、上部を「小屋裏収納(ロフト)」とすることで。
天井を無くしてできた「吹抜け」と一体化され、さらに開放感が増しました。
バルコニーは大きめにして、内外の床段差を無くし、外部と内部が一体化するよう努めました。
バルコニーは、洗濯物干し場ではありません。
季節によっては、バーベキュー、ビニールプール、テントを張ってと「庭」のように活用されています。
ただし、都合の良いことだけではありません。
木密不燃地域ですので、建築基準法上の耐火性能が厳しく、
火災時に燃え尽きて倒壊しないように、通常より35mm厚い(燃えしろ)材料となります。
天井を無くしコストダウンになった分、35mmの厚みに置換されます。
しかし、材料の強度が上がりますので「構造は頑丈」になります。
また、設計する上で、非常に手間がかかります。
しかし、31会のメンバーです。そこは腕の見せ所です・・・。
・まとめ、
(1)天井を無くして「吹抜け」にする
(2)照明を「小屋組み」に向ける
(3)吹抜けの一部を「小屋裏収納」(ロフト)にする
(4)バルコニーを大きめにとる。
(5)設計を頑張る! (お客さんは財布の紐を緩める!)
・最後に、
一日も早いコロナ禍の終息とともに、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
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