飛び級でリフォームを学ぶ_職人技を目の当たりにする @石川 利治
今回のプロジェクトでの新たな試みのひとつであるカーブを描く壁は左官で仕上げるという大きな方向性が定まった後、どのような左官材を使うかの検討を進めていました。初期の段階でイメージしていたのは金属調の左官材でしたが、色味や輝き具合などはチップサンプルでは良し悪しが判断できず、ある程度の大きさでの実物サンプル確認を行うことが必要という話になりました。そんな中、各務さんと以前からお付き合いのある日本化成さんのショールームで金属調左官の仕上がり状態が確認できるということで、お客様と共に訪問しました。表層の金属調左官材の塗り厚は薄いため、今回はより複雑な凹凸のある表情で深みと重厚感も表現したかったため、下塗材を使ったパターンを組み合わせることになりました。この辺りの話は各務さんのブログで詳細に書かれていますのでそちらをご覧頂けますと幸いです。
現場での下地ボード作りが終わり、左官屋さんの作業初日の朝に、お客様と設計、施工関係者が一同に揃い、最終的な仕上がりイメージを確認しました。その中で、下塗材のパターンにランダムな斜めのラインを入れることを提案し、各務さんが即興で展開図にイメージを描きました。どのようになるかを実際の曲面壁に養生テープで再現し、バランスを見ながらラインの位置や本数を確認してゆきました。左官を担当する望月工業さんが、細く手で裂いてランダムな太さとなるようにしたビニールテープに置き換え、下塗材を塗り込め、乾く前にテープを剥がすことでラインを作るための準備を進めてくれました。
下塗材の作業が始まると乾燥との時間勝負になるため、一気に作業が進んでゆきます。若い職人さんが均一に下塗材を塗った所に望月社長が表情を加えてゆきます。微妙なコテさばきで斜めの流れをつけながら表面が単調にならないように強弱の表情がつけられてゆきます。部分を作りながらも全体のトーンが整えられ、尚且つ微妙なグラデーションも付けられ壁全体が仕上がってゆきました。
下塗がほぼ終わり、小1時間で下塗材が崩れない程度に乾燥が進んだタイミングで、最初に貼ったビニールテープを剥がしてゆきます。下地ボードが現れ、見事にラインが再現されました。マスキングをしていた部分のエッジをさらに整えて、次工程の金属調左官の仕上げに備えます。
後日、下塗材が乾き、金属調左官が塗られました。写真は塗った直後になるため金属の輝き感はまだないのですが、後日表面を薄く削ることにより、金属調の表面が出来上がります。
現場は、最後の追い込みをかけており、スチールサッシも左官と同時並行で取り付けが進んでいました。その他の作業も一気に人手をかけて進めており、非常に熱気の溢れた作業状況が続いています。
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