地盤調査は、やってもやらなくても良いか?「地盤から考える家づくり」@古川達也
今年9月北海道で大きな地震がありました。街の様々な場所が壊れ、地面が変形したり、建物が傾いたり、被害の大きさを伝えるニュースに、心配の声が広がりました。皆さまの建物建設や住まいづくりにおいて、その安心・安全に、より関心が高まっていることを日々感じています。
例えば住まいの足元、大事な地盤に着目してみたいと思います。足元がゆらぎ頼りないものであっては、どんなに素敵な住まいでも心配が絶えないからです。
まずは、地盤の状況を知る「地盤調査」について考えてみましょう。
◆地盤調査とは
地面下の地質・強度・地下水位などのデータを採取し、地盤についてその性質を知ることを目的に行う調査のことを地盤調査と言います。土地の形や大きさ、計測機器を持ち込めるか否かなど、状況をみて環境に合わせた方法を選択します。建物設計の計画が進んでいる場合は、建物が配置される場所を狙い、より確度の高い調査データを得たいところです。
地盤調査例、スウェーデン式サウンディング試験の様子。
◆地盤調査の例
【スウェーデン式サウンディング試験】
先端がスクリュー状になった鉄の棒を、回転させながら地盤にねじ込ませ、地盤の固さを判断します。戸建て住宅用の地盤調査で最も多く行われている調査方法です。
・メリット:試験方法が容易でコストが比較的安い。敷地内で複数観測できる。
・デメリット:堅い地層は貫入不可。土質や地下水位の正確な把握が難しい面がある。
【標準貫入試験】
孔を掘りその孔を利用し(ボーリング)1m毎に地盤の固さを測定。63.5kgの重りを76cmの高さから落とし、地盤に30cm打ち込むのに要する打撃回数(n値)を求めて、地盤の固さを把握します。日本の地盤調査で最も普及している調査方法です。
・メリット:硬い地層にも貫入でき測定深さの範囲が広い。土質や地下水位が確認できる。
・デメリット:軟弱層における微細な判定が出来ない。コストがやや高い。
【三成分コーン貫入試験】
小型センサーを取り付けたコーンを一定速度で地中に押し込み、3成分(先端抵抗、摩擦、水圧)を電気的に測定します。近年小型の機械も開発され、戸建て住宅用の地盤調査においても実績が増えてきている調査方法です。
・メリット:簡易な液状化判定が出来る。簡易な土質判定ができる。
・デメリット:硬い地層は貫入不可。
【平板載荷試験】
載荷板(通常は直径30㎝の円盤)に荷重をかけて、地盤の支持力を直接測定するものです。浅い深度の地盤の変形や強さなどを求める調査方法です。
・メリット:地盤の支持力を直感的に直接判定できる。
・デメリット:深度方向の調査が困難。載荷板で分かる範囲が狭い。土質や水位の測定不可。
参考:エイチ・ジー・サービス株式会社ホームページ
◆地盤調査は、やってもやらなくても良いか?
地盤調査には前述を例に、様々な方法がありますが、一般的な木造住宅の建設を考える土地では、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)を採用するケースが多いです。一方、地質や地下水位の正確な把握が難しい面があるため、地表に近い地下水が予想されたり、植物の腐敗で堆積した腐葉土など不安定な地質が考えられたりする場合など、より詳しい地盤データを得られる調査を選択することも考えられます。
地盤調査は、やってもやらなくても良いか?
答え→地盤調査は、やらなくてはいけません。調査のデータから地盤の状況を知り、建物設計の調整や、適切な地盤の補強等を行う事が出来ますので、家づくりにおける安心・安全確保への第一歩となります。次回は、地盤が弱い場合の「地盤補強」についてお話ししたいと思います。
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