コンパクトな家に大きな出窓をつけて広がりをつくる工夫 @滝川淳
母屋から数メートルの場所に建つ80代夫婦のための離れです。生活のすべてを共有するには母屋だけでは狭く、かといって離れにお風呂、キッチンをしっかりとつくるほどには広くしたくない、というご要望でした。寝室、バリアフリートイレ、6畳ほどの居間にシンクだけのミニキッチンを付属した、コンパクトな終の棲家としました。
計画の途中で、ご近所づきあいの楽しい話を聞きました。「古くからの知り合いになると、家の裏側、勝手口側に入ってきて、こんにちは、なんてことは普通ですよ。」携帯で連絡するでもない、居間でくつろいでいたら突然庭先から挨拶されるわけですから驚きもしましたが、何て素晴らしいご近所づきあいなんだろうと感激もしました。そこでこの関係を計画にも反映してみました。
家全体をコンパクトにしながら、広がり感を出す方法はいくつかあります。天井を高くする、掃き出し窓の先にデッキテラスを設ける、など。こちらの離れでは、さらに大きな出窓を作ってみました。出窓の窓台になる部分はベンチとして使えるように40センチぐらいとし、ひとが出窓に座っても(こどもであれば寝転んでも!)十分な大きさとしました。
そうです!この出窓におばあちゃんが座ってくつろいでいたら、庭先をテクテクと歩いてくるご近所さんが見えて、窓を開けてこんにちは!という景色を想像したのです。ご近所さんといえども、靴を脱いで家の中に上がるのは抵抗があるでしょう。かといってコンパクトな家に広い土間を設けることもできないので、出窓をコミニケーションの接点の場としたのです。ここまで積極的な機能がある出窓も、そうそうないでしょう。
またこの住まいでは、建具、巾木、手すり、建具枠といった木製の部材を統一してロシアンバーチ合板を使うことで統一感を出しています。ご高齢の夫婦なので、木の雰囲気は少し多めです。出窓の枠には四方にロシアンバーチを回しています。
このような工夫をすることで、コンパクトながらも広がり感とスッキリ感のあるお部屋をつくることができます。
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2025年9月20日(土)「自然素材の平屋の木の家」完成現場見学会のお知らせ @小泉拓也+栗原守
中野区の「自然素材の平屋の木の家」は平屋の約33坪の住まいです。建築主さまのご厚意により2025年9/20(土)完成現場見学会を開催させていただくことになりました。リビングダイニングとつながる大きなデッキテラスで内と外の暮らしを楽しむことができる平屋の木の家です。 無垢の木や左官の薩摩中霧島壁、沖縄の月桃紙、天井のくりこま杉などの自然素材でできた温かく気持ちのよい空間の雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 家づくりを検討中の方のご参加をお待ちしています。時間指定で3組限定の見学...