少しずつ変化していく住まい @岸井 智子
今週のリレーブログを担当するmeenaxy designの岸井です。今回は、生活の状況に合わせて変化していく住まいについて書いてみたいと思います。
住まいを新築あるいはリフォームする場合には、まず理想の生活を思い描き、それに向けた計画を立て、工事を行います。しかし完成後に生活をしてみると、当初は気づいていなかった事があったり、予想外に生活や周辺環境が変化することもあり、思い描いていた理想と現実が異なってくることも少なくありません。
私たちが設計を行う際には、100%決めきるのではなく、変化を許容する余白を残しておくことを心がけていますが、別のアプローチとして、段階を分けて少しずつ設計・工事を行っていくという方法もあります。
私たちが設計を担当したこちらのマンションの一室は、全体を一気にリフォームするのではなく、部分的な工事を時間をかけて段階的に行うことで、住み手に取ってその時々でベストな選択を積み重ねることができている事例です。
↑I邸リノベーション 1期工事終了後のリビングダイニング
まず最初の工事では、傾斜屋根を持つマンション最上階の特性を生かし、天井の高いリビングダイニングとロフト収納を設ける工事を行いました。この時、コストを抑えるために、他の個室と設備関係は既存のままとしています。
その後数年が経過し、お子さんも大きくなり、個人のスペースを増やしたいということで、天井高を生かした個室スペースを増やす、大規模な2期工事を計画。
↑天井ふところを利用し、立体的に個室スペースを展開する2期工事スケッチ
しかしこのすぐ後、マンション南側に高層ビルが建設されることが決まり、日当たりが悪くなるため住み替えを視野に入れるということで、2期工事は一旦中止となります。
その後しばらく経ち、高層ビル建設は進んでいますが、売却する際には浴室・トイレ・キッチン等の設備は新しくする予定なので、どうせ入れ替えるのであれば早い方がよいということで、結果的に2期工事は主に設備関係の入れ替えのみ行いました。
↑キッチン、浴室は既製品の入れ替えとしましたが、洗面台は造作工事で制作
このように、少しずつ状況に合わせて住まいをカスタマイズしていく方法は、理想と現実のギャップが大きくなるリスクを抑えつつ、工事資金も分散できるため、住まい手にとってその時々でベストな環境を無理なく得られる一つの方法であるといえます。
タイミングと取捨選択の判断など難しい部分もあると思いますが、私達設計事務所がそのお手伝いをできることも多いと思いますので、必要に応じてお気軽にご相談をいただければ幸いです。
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中野区の「自然素材の平屋の木の家」は平屋の約33坪の住まいです。建築主さまのご厚意により2025年9/20(土)完成現場見学会を開催させていただくことになりました。リビングダイニングとつながる大きなデッキテラスで内と外の暮らしを楽しむことができる平屋の木の家です。 無垢の木や左官の薩摩中霧島壁、沖縄の月桃紙、天井のくりこま杉などの自然素材でできた温かく気持ちのよい空間の雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 家づくりを検討中の方のご参加をお待ちしています。時間指定で3組限定の見学...