住まいの和室(畳のある部屋)の七変化! @石井正博+近藤民子
今週の “リレーブログ” を担当します、設計事務所アーキプレイスの石井正博+近藤民子です。
長い住文化の中で育まれてきた和室(畳の部屋)は、建具を開け閉めすることで用途や広さを変化させることができる”日本独特の空間”で、畳の心地良い素材感と相まって、その変幻自在性はこれからの住まいにも有効な部屋だと感じます。
今回と次回のリレーブログでは、和室(畳の部屋)の事例を場所ごとに紹介します。家づくりやリノベーションにおいて、生活スタイルのイメージ作りやプランニングの参考にしていただけると幸いです。
【1】リビングのプラスアルファの和室(畳の部屋)
子育て世代のLDKの一角に設けた畳コーナー的な小上がりの和室。普段は小上がりに腰掛けたり、畳にゴロンとしたり、子供に絵本を読んだり、リビングと一体的に使います。本棚と仏壇置場を造り付け、小上がりの下にはテレビ関連の機器を収納。壁に収めた引き込み戸を閉じれば、独立した部屋としても利用できます。
>>明大前の賃貸併用二世帯住宅
>>設計・工事経過ブログ 明大前の賃貸併用二世帯住宅
リビングの隣に設けた小上がりの和室。ソファスペースからも桜を楽しめるように、間口ばいっぱいの大きな窓を設け、窓辺には桜を間近で楽しんだり、本を読んだりできる堀炬燵式のカウンターを設けています。大きな壁の中に収めた戸を引き出せば、客間としても使えます。両側の壁面には布団や掃除道具、エアコン、テレビやAV機器が収まります。
>>東京タワーと桜の見える家
>>設計・工事経過ブログ 東京タワーと桜の見える家
LDKの一角に設けた和室(畳の部屋)。フローリング床とは段差無くつながり、吹抜けのリビングとは対照的な天井高さを抑えた和室です。天井には正方形のフチなし畳に対応させて、シナ合板を市松模様に張っています。布団を収める吊り収納と上部が神棚置場となった収納を造作。子供が小さい時にはお昼寝をさせたり、おもちゃを出したままにしておくこともでき、引き戸を閉めれば来客時の宿泊にも使える多用途な和室です。
【2】リビングとしての和室(畳の部屋)
二世帯住宅の親世帯の小上がりの和室。普段は広々使うため、仕切りとなる戸襖は天井までの高さの建具として壁の中に引き込んで収め、左右や上部の枠は目立たないスッキリした納まりにしています。独立した娘さんが宿泊もできるように、隣の納戸に布団を収納、畳の下も一部収納スペースになっています。
>>独立した二世帯が集う家
>>設計・工事経過ブログ 独立した二世帯が集う家
二世帯住宅の1階にある親世帯の和室(畳の部屋)です。フローリング床のダイニングスペースと畳は段差無くつながりますが、和室の天井は少し下げて、開放的なダイニング側とは一味違う落ち着きを感じられるスペースにしています。地窓を開けて畳に寝転べば、風を感じながらお昼寝もできます。和室は客間としても使うため、布団を収める押入れと荷物も置ける板の間を設けています。
>>ミカンの木の育つ二世帯住宅
>>設計・工事経過ブログ ミカンの木の育つ二世帯住宅
二世帯住宅の親世帯のリビングの一部を畳スペースとした事例。大きなダイニングテーブルは、手前側には椅子を置き、奥側は畳に腰掛けて使います。正面の小庭には、白い塀の前に黒竹が並んで見えます。右側は寝室スペースとの仕切りとなったテレビも置ける造作家具。大切な思い出の品を飾る棚のガラスの開き扉は、視線の邪魔になる中央の木枠を無くしたディテールです。
>>東京タワーと桜の見える家
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掘り炬燵式の囲炉裏のある和室。手前に対面式のキッチンがあり、ダイニングを挟んだ奥に一段上がった和室があります。山登りや魚釣りなど多彩な趣味の建て主の方は、ガレージの流しで魚を捌き、キッチンで料理して、火を起こした囲炉裏で魚や、菜園で育てた野菜を焼いて食べます。雪見障子を開けると近隣の視線を気にすることなく庭の眺めを楽しむこともでき、ダイニングとの間の壁に収めた4枚の襖を閉めると、宿泊にも使える落ち着きのある和室になります。
>>囲炉裏のある趣味満載の家
>>設計・工事経過ブログ 囲炉裏のある趣味満載の家
【3】プラスアルファの和室(畳の部屋)
終いの住処のプラスアルファの和室。庭の見える階段ホールに面して設けた和室には、友人たちと時間を気にせず麻雀ができる掘りごたつがあります。炬燵に蓋をして建具を開け放てば、板の間プラス畳のスペースが生まれ、お寺さんや親戚を呼んでの法事もここで行うことができます。
>>蕨市のコートハウス
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リビング隣接の和室です。奥様のお母様が気兼ねなく宿泊できるように、一定の独立性を持たせつつ、シナ合板を張った天井では連続した広がりも演出。地窓上の布団を入れる吊り収納には、テレビを置き、エアコンを組み込んでいます。普段はLDKにいる家族と少し距離おいて、お昼寝したり、好きなことができるサブリビングとして使います。
>>桜並木と暮らす家
>>設計・工事経過ブログ 桜並木と暮らす家
次回のリレーブログ「続住まいの和室(畳のある部屋)七変化!」では、客間、寝室、茶室、洗面室などの事例をご紹介する予定です。
>>続・住まいの和室(畳のある部屋)の七変化! @石井正博+近藤民子
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「江戸Styleの家」オープンハウスのお知らせ 2024 年11月30日(土) @小泉拓也+栗原守
「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...