長持ちする家、しない家@中西ヒロツグ
国土交通省の統計によると、日本の住宅の平均寿命は約30年と言われています。欧米に比べて短いのは、木造の耐久性や日本人の新築指向にあると思われていますが、実は新築を優遇する国の施策と税制に問題が潜んでいます。現在の税法では、建物の資産価値は年間20%ずつ目減りし、約20年で中古住宅の価値はゼロになってしまいます。つまり、いくら手塩にかけて住まいを維持管理しても、いざ手放そうとした時には土地の価値しか認められず、建物の価値はまったく評価されないのです。何の価値もないなら壊して建替えようと思うのは無理もありません。しかし少子高齢化や雇用の不安定が深刻化し、世代を超えて住まいを長く使い続けたいというニーズは高まっています。
とは言え、どんな家でも手入れをすれば長持ちするというわけではありません。いわゆる注文住宅は究極のオーダーメイド商品のため、他の住まい手からすると魅力を感じないばかりか、とても住みにくいものとなります。その結果、いくら高価で頑丈な家でも、持ち主が変わってしまうと建替えられてしまう運命を辿ってしまいます。
では、どんな家が長持ちするのでしょうか? たくさんのリノベーションを手掛けてわかったことは、誰もが自分でアレンジしやすい家が一番長持ちするということです。表面的な形や素材はいつでも変えることが出来ますが、間取りや構造はそう簡単に替えることが出来ません。そのため、変わった間取りや特殊な工法で建てられた家は、リノベーションの足かせになることが少なくないのです。
それに比べて、伝統的な3尺(約91㎝)モジュールで、架構(柱、梁などの構造)と間取りが一致している家は、間取り変更も容易でリノベーションもしやすくなります。建材や住宅設備はこのモジュールを基準に造られているので、交換や移動なども柔軟に対応できます。逆に言えば、リノベーションの際にモジュールに沿ったプランに整えることで、今後の変化にも対応できる資産価値の高い住まいにすることができるのです。
住まいは人や時間とともに変化するものです。取り替えられる部分とそうでない部分を明確に区分し、持ち主が代わってもリノベーションしやすくすることで、愛着を感じつつ長持ちする家が実現できるのだと思います。
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