家事動線優先の家 @七島幸之+佐野友美

東京都調布市にある敷地41.5坪の敷地。
第一種低層住居専用地域・建蔽率40%・容積率80%・第一種高度地区と厳しめの条件。
だからこそ雰囲気のよい住宅が建ち並んでいる地域でもあり。

そこに共働きのご夫婦と子供3人(計画時は、大学生、高校生、中学生)の5人家族のための住宅。
家族みんなで過ごす時間を優先したいという時期は過ぎたようです。。。

以前の家では
・帰宅後玄関に靴を脱ぎっぱなし、LDKにはコートやバックなど置きっぱなし
・家族5人分の洗濯・洗濯干・洗濯とりこみ→アイロン→各個室へ運ぶ毎日で、行ったり来たりが大変
と動線や収納に少々ストレスを感じていたようでした。

これらを解消すべく、玄関からの動線を二つ設けました。
お客さんは、玄関から直接LDKへ。
家族は、玄関からシューズクローゼットに入り、そこに靴を置き、LDKへ。

↑右の木製扉が玄関ドア。お客さんはそのままLDKヘ(写真では開いていますが、引戸があります)
シナ合板の箱がシューズクローゼット。

 

 

 

また、洗面室(朝の混雑時を考慮し大きめの洗面台)を中心に、
図面で右側には1帖の脱衣室と1坪タイプのお風呂、
反対の左側には3帖の家族のウォークインクローゼット。その先には屋外の洗濯物干場。を配置。
洗濯して干して、取り込んだ後すぐにウォークインクローゼットに仕舞う。(各個室には運ぶ必要なし)
洗濯の一連の動作がこの一列で済みます。

ちなみに家族ウォークインクローゼットは、5つのブースに分かれていて、家族5人それぞれに1ブースが与えられています。
1階のこの場所にあるおかげで、洗濯物を各個室に運ぶこともなくなり、
家族も帰宅後のコートやバックもココに置くようになり、LDKがいつもスッキリ!

 

↑洗面室の右側は脱衣室と浴室。

 

↑洗面室左側には家族ウォークインクローゼット。その先に屋外の物干場。

 

限られた建蔽率のなか、3帖の家族ウォークインクローゼットを設けると
LDKなど家族で過ごすスペースが小さくなりますが
このご家族の場合、子供の年齢や今の家族の暮らし方を踏まえ、家事動線と収納量を優先させました。

 

 

 

 

収納と水廻りに十分なスペースを確保した分
LDKは、リビングとひと続きのテラスや吹抜けを設け、広がりある家に。
テラスは、リビングと同じタイル仕上げにして、
天気のよい日に窓を開ければアウトドアリビングの出来上がり。
視覚的にも一体感があり、また板塀で囲われているので周囲の目線も気になりません。
天気のよい日は、テラスでお茶をしたり、BBQしたり活躍しているようです。

↑竣工時の写真で植栽がさみしいですが、今はモリモリな庭です。

ちなみに2階には、子供部屋3つ(屋根裏を利用したロフト付)と主寝室+書斎、小屋裏収納があります。

どんなお宅でも希望全てを叶えるのは、面積も予算も難しいところ。
だからこそ何を優先したいのか拘りたいのか、じっくり考えるのも家づくりの楽しいところ。そのぶん愛着ある家になると思います。

>>七島幸之 + 佐野友美/アトリエハコ建築設計事務所 建築家31会のページ
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七島幸之 + 佐野友美 ななしまゆきのぶ さのともみ

アトリエハコ建築設計事務所

詩的にシンプルな、それでいてユーモラスな建築をつくりたいと考えています。 要素を削ぎ落とすのではなく、生活の為の設えがさりげない在り方で生活を彩る、シンプルな家。 姿カタチや空間の佇まいに住まい手の個性が垣間見えるような、唯一無二の「生活の容器」を自由で柔軟な発想で追求します。

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この度、設計事務所アーキプレイスで設計監理しました『回遊動線のあるつくばの家』(木造2階建)が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 つくば市の新旧入り交じる住宅街に建つ、3人家族のための住宅です。 リモートワークが広まり家で過ごす時間が長くなる中、ご夫婦それぞれの仕事場でもある住まいには、より快適に暮らしていけるよう、ゴロンとできる和室、本棚のあるヌック、子供と遊べる南の庭などの場所をちりばめています。 オープンハウス(完成見学会)...