家づくりの基礎知識(ゲリラ豪雨に備える)@前田敦

1.はじめに

暑い夏が続きますが、猛暑日が続いたり、今では日常となったゲリラ豪雨や突然の雹などの気象が私たちの生活に変化をもたらしてきました。
今回は、あなたの家を安全に保つための基本的な知識として、特に「ゲリラ豪雨」に焦点を当てた家づくりについて解説します。

1.1. ゲリラ豪雨とは?

「ゲリラ豪雨」は、その名の通り突然襲ってくる大雨のことを指します。

この用語は、予期しない大量の降雨が非常に短時間で地域を襲う現象を表すために用いられます。

概念自体は新しいものではありませんが、地球温暖化の影響により頻繁に発生するようになってきており、ますます注意が必要とされています。

ゲリラ豪雨は通常、極めて局所的であり、短時間に非常に大量の雨が降ります。これは時には1時間に50ミリ以上の雨が降ることもあり、それは通常の雨よりもはるかに大きな影響を及ぼします。

ゲリラ豪雨

↑キャロットタワーから偶然見かけたゲリラ豪雨の様子

1.2. ゲリラ豪雨のリスクと影響

ゲリラ豪雨の最大のリスクは、その予測の困難さと急速な発生にあります。

これにより、人々やコミュニティが適切な準備をする時間が限られてしまいます。

このため、その影響は通常の雨よりも深刻となり得ます。

ゲリラ豪雨は、浸水、地滑り、洪水、交通の混乱、そして最悪の場合は人命の危険をもたらす可能性があります。

住宅にとっては、床下浸水や窓からの雨漏り、屋根からの雨漏りなどが発生する可能性があります。また、大量の雨水により地盤が緩み、家屋の安定性を損なうこともあります。

これらのリスクを把握し、予防対策を計画的に行うことが重要です。

 

 

2.ゲリラ豪雨対策と家づくり

家づくりにおいてゲリラ豪雨対策は重要な一部をなしています。

豪雨の際に家と家族を守るため、さまざまな段階で配慮するべきポイントがあります。

2.1. 住宅地選びのポイント

まず、家を建てる場所を選ぶときに考慮すべき要素がいくつかあります。

豪雨が降った場合に、その地域が洪水に見舞われるリスクがあるかどうかを調査することが重要です。

これは地方自治体が公開しているハザードマップ等で確認することもできますし、土地を斡旋している不動産会社に言えば情報を提供してくれます。

弊社でも土地探しからサポートする事例が多いので、必ずこういった情報は提供しています。

また、周辺地域の地形をチェックすることも大切です。傾斜地や低地では雨水の流れが集まりやすく、浸水や崖崩れのリスクが高まる可能性があります。
浸水位に対しては、周囲よりも高い位置にある土地の方が安全性は高いです。

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2.2. 地盤と地形のチェック

次に、選んだ土地の地盤や地形を確認します。

豪雨によって地盤が緩むと、家屋の安定性に影響を及ぼす可能性があります。

また、急な傾斜や地すべりのリスクがある地形は避けるべきです。

地盤調査を行い、必要なら地盤改良をすることで、家が豪雨による地盤の緩みから守られます。

また、地形が急であれば、適切な排水路の設置や、斜面の固定などの対策が必要となることもあります。

2.3. 設計段階での対策: 家の配置と高さ

家の設計段階では、家の位置や高さを慎重に考慮する必要があります。

豪雨時に水がたまりやすい低地への建築は避け、なるべく高い位置に建てることが望ましいです。

また、家の高さも重要です。床下の高さを適切に設定することで、浸水を避けることができます。

具体的な高さは地域や地形によりますが、一般的には地面から最低でも50cm以上の高さが望ましいとされています。

↓ハザードマップの情報から、床の高さを通常より高くした事例です。

事例掲載サイト:桜並木を望む家

2.4. 床下の防水処置

床下は豪雨による浸水から家を守るための重要な部分です。

床下には防水シートを敷き、更にそれを保護するための砂利や砂を敷くことが一般的です。

これにより、床下からの浸水を防ぎます。

また、床下換気口は雨水が侵入しないように高い位置に設置するか、雨水が入りにくい工夫を施すことが重要です。

2.5. 屋根と窓の防水設計

屋根と窓は家の「防水シールド」の役割を果たします。屋根材は雨水を効果的に排水できるものを選び、適切に施工することが必要です。

また、屋根の勾配も重要で、雨水が溜まらずに速やかに流れるように設計することが望ましいです。

窓については、窓枠や窓ガラスの継ぎ目に防水材を適用し、窓からの雨漏りを防ぐことが重要です。

また、窓の位置や形状を工夫することで、強い風雨から守ることも可能です。

2.6. 排水システムと浸水防止装置

最後に、効果的な排水システムと浸水防止装置の設置が非常に重要です。

豪雨時には大量の雨水が一度に降るため、それを迅速に排水するための設備が必要となります。

家の周りに適切な勾配のある排水路を設け、雨水が家から遠ざけられるようにすることが大切です。

また、浸水防止装置を設置することで、排水口から逆流してくる雨水から家を守ることができます。

以上が、ゲリラ豪雨に対する家づくりの基本的な対策です。

しかし、これらはあくまで基本的なガイドラインであり、具体的な対策は各家庭の状況や地域の状況によって変わります。専門家と相談しながら、自分の家を豪雨から守る最善の方法を見つけてください。

 

 

3.住まいの内装と家具選び

ゲリラ豪雨対策は家の外部だけでなく、内部にも影響を及ぼします。

家の内装や家具選びにも豪雨への備えが必要です。

では、具体的にどのような観点で家具を選び、配置すべきなのでしょうか?

3.1. 床材の選択

ゲリラ豪雨に対策するためには、床材の選択が重要です。

もし浸水が発生した場合でも、床材が水を吸収しにくい素材であれば、床のダメージを軽減できます。

また、床材が速やかに乾く素材であれば、後のクリーニング作業が楽になります。

セラミックタイルやビニールなどの防水性に優れた床材は、ゲリラ豪雨に備える上で有効です。

これらの素材は、浸水が起きたときでも水を吸収しにくく、乾かすのが比較的簡単です。

3.2. 家具の配置と高さ

家具の配置についても工夫が求められます。

可能な限り、家具を床から高い位置に設置することを検討してみてください。

これは、床からの浸水が発生したときに、家具が直接水に触れるのを防ぐためです。

また、家具に脚が付いていて床から少し浮いているものを選ぶと、小規模な浸水であれば家具自体が水に浸るのを避けられます。

3.3. 防水加工と防水家具の活用

最後に、家具自体の防水対策も大切です。

木製家具などは、防水加工を施すことで水濡れによるダメージを防げます。

また、市場には防水性の家具や家具カバーも豊富にあります。

これらを活用することで、家具を直接的な水濡れから守ることが可能です。

以上が、ゲリラ豪雨に備えた内装と家具選びのポイントです。これらの考え方を元に、豪雨に強い生活空間を作ることが可能です。

まとめると、床材選び、家具の配置と選択、防水対策が重要となります。

これらの対策は、一見すると豪雨だけに対応するものと思われがちですが、実際には日常生活での水濡れ事故に対する備えとしても有効です。

例えば、飲み物をこぼしたり、洗濯物が滴ったりした場合でも、これらの対策は室内を守る役割を果たします。

豪雨への備えは、予測不可能な自然現象に立ち向かうための重要なステップですが、それだけでなく、日々の生活をより快適で安心なものにする手段でもあります。

一緒に、自分たちの生活をより良いものにしていきましょう。

 

 

4.緊急対策:ゲリラ豪雨に備える

ゲリラ豪雨は突然の大雨をもたらし、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

そのため、事前の対策はもちろん、緊急時の備えも不可欠です。

4.1. 雨漏り検知装置の導入

雨漏りは家の中に水が侵入することで、家具や家電製品、内装などに大きなダメージを与えることがあります。

そのため、雨漏りの初期段階での早期発見は非常に重要です。

雨漏り検知装置は、天井や壁に取り付けることで、水の浸入を早期に検知することができるデバイスです。

検知すると警報を発することで、住人に速やかに対応を促します。

この装置を導入することで、大きな被害を未然に防ぐことが期待できます。

4.2. 非常用品の準備

ゲリラ豪雨の影響で、外出が困難になったり、電気や水道が利用できなくなることも考えられます。

そのような緊急時に備え、以下の非常用品を準備しておくことをおすすめします。

  • 防水ライトや懐中電灯
  • 携帯電話の予備バッテリー
  • 飲料水や非常食
  • 救命胴衣や浮輪(特に低地に住んでいる場合)
  • 防水加工された非常用バッグ(中に必要な物を収納しておく)
  •  

4.3. 雨量予報と警報システムの利用

現代の気象技術は高度化しており、ゲリラ豪雨の発生をある程度事前に予測することができるようになっています。

各地の気象台や地方自治体は、大雨の警報や注意報を発令するシステムを持っています。

スマートフォンやコンピュータを利用して、最新の雨量予報や警報情報を常にチェックする習慣をつけることで、ゲリラ豪雨の発生を早期に察知し、適切な対応を取ることができます。

ゲリラ豪雨は突如として襲ってきますが、事前の準備と知識を持っていれば、被害を最小限に抑えることが可能です。

毎日の生活の中で、上記の緊急対策を心がけることで、安全で快適な生活を守る手助けとなります。

 

 

5.ゲリラ豪雨後の対策

ゲリラ豪雨の影響は、その後も続くことがあります。一度豪雨が去った後も、家や住環境を早急に回復させるための対策が必要となります。

5.1. 安全確認と損害評価

豪雨が去った直後、まず最初に行うべきは、自身や家族の安全確認です。

次に、家の損害状況を確認します。屋根や窓、外壁に損傷がないか、家の中に水が入っていないか、基礎に亀裂などの損傷がないかをチェックします。

また、電気やガス、水道などのライフラインに影響がないかも確認しましょう。特に電気機器が浸水している場合は、使用を控え、専門家にチェックしてもらうことが推奨されます。

5.2. 清掃と修復方法

浸水した場合、速やかな清掃が必要です。水を速く排除し、室内を乾燥させることで、カビの発生や家具・建材のさらなる損傷を防ぐことができます。

  1. 浸水した場所の水を取り除きます。バケツや雑巾、排水ポンプなどを使用して水を除去します。
  2. 乾燥機やファンを使って、部屋を早急に乾燥させます。
  3. カビ防止剤を使用して、カビの発生を防ぐよう努めます。

大きな損傷がある場合や、自分での対処が難しい場合は、専門家や業者に相談しましょう。

5.3. 保険と補償制度の利用

ゲリラ豪雨による損害が発生した場合、持っている保険が適用されるかを確認します。

火災保険には、水害特約が付帯していることが多いので、保険証券を確認し、速やかに保険会社に連絡します。

また、自治体によっては、自然災害による損害に対して補償制度が設けられていることもあります。最寄りの役所や市町村のホームページで、詳しい情報や対応を確認しましょう。

ゲリラ豪雨の後の対策は、早急な行動が求められます。速やかな対応によって、被害を最小限にとどめることができるのです。また、保険や補償制度を上手く活用することで、経済的な負担を軽減することも可能です。安全を最優先に、冷静に対応することが大切です。

 

 

6.まとめ

ゲリラ豪雨は、その名の通り、予測困難な突発的な豪雨を指します。

近年、その発生頻度や影響が増しているため、我々が日常生活の中でそのリスクに備えることがより重要となっています。

このブログで述べたような対策は、単なる日常の注意事項を超え、私たちの生活や財産を守る上で欠かせないものとなっています。

6.1. 家づくりで防災を考える重要性

家は私たちの生活の基盤です。その安全性や快適さが直接、私たちの生活の質に関わってきます。

ゲリラ豪雨に代表されるような自然災害は、突然の出来事であり、100%の予防は難しいかもしれません。

しかし、家づくりの段階から防災を意識することで、リスクを大きく減少させることができます。

地盤の強さや家の配置、設計、材料選びなど、家を建てる際の各ステップにおいて防災の視点を取り入れることで、安全な住まいを実現することができます。

6.2. ゲリラ豪雨に備える心構え

ゲリラ豪雨への備えは、物理的な対策だけでなく、心構えも非常に重要です。

事前の準備や知識はもちろん、突発的な事態に冷静に対応するための心構えが求められます。

そして、何より大切なのは、自分だけでなく、家族や近隣の人々との協力や連携です。

最後に、ゲリラ豪雨に関する情報や知識は、日々アップデートされています。

定期的に最新の情報をチェックし、日常生活の中での備えを見直すことが大切です。

安全と安心のために、一人一人がしっかりと対策を取ることで、より良い社会を築いていけることを信じています。

著者情報

前田 敦前田 敦

前田 敦 まえだ あつし

前田敦計画工房 合同会社

3つのテーマに特化して家づくりに積極的に取り組んでいます。 (1)愛犬と快適に暮らす家づくり (2)愛猫と快適に暮らす家づくり (3)土地・中古物件探しからの家づくり

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