リビングにソファではなく掘りごたつという選択 @滝川淳
住まいの設計をしていると、リラックスするための場として、フローリングの床ではなく、畳のうえでゴロっとしたい、という方が時折いらっしゃいます。家の中に一室は畳の部屋を設けたい、というのも似たような要望でしょう。短時間睡眠や体を横たえて休むことはとてもいいこと。ソファを独占して横になる方法もありますが、夏季などに少しの間寝るにはソファが汗を吸わない材質で、、、といったこともよく伺います。
リビングの一角に畳スペースを設けることでも解決できますが、最近よく提案するというか、施主からの要望で採用するのが掘りごたつ。こたつの机の下が彫り込んであって、座れるようになっているものです。外の飲み会の席で靴を脱いで小上がりに上がった時、脚が下せるようになっているのといないのとでは快適さが全く違うように、掘りごたつはとても快適な和室の装置だと思います。

勝沼の家では掘りごたつにしたい、というご要望を聞いてから、検討したことが二つあります。バリアフリー対応をどうするか、そしてリビングの収納としての役割を持たせられないか、ということです。
掘りごたつに限らず、バリアフリーを考えた時に床に直接座る、または床から立ち上がるという動作は身体への負担が大きいもの。そこでこの写真の事例では小上がり式とし、立ち座りの動作を楽にしました。部屋の片隅ではなく、えんじ色の壁との間にも通路スペースがあり、中央に独立して置かれているので、写真に撮るとドンと鎮座している感じに見えます。こうしたのにはもう一つ理由があります。こたつの両脇にある柱です。リフォームする際に、既存の柱は極力残すようにしています。木造の場合は柱の上で梁を継いでいる場合もあるので、簡単になくすことを前提に計画できません。もちろん天井裏を調査して梁の形状を確認したうえで、構造計算して無くすこともできますが、住まいながらの計画のため、天井裏にもぐること自体がなかなかな難しいもの。そこで柱2本を残した間にちょうど掘りごたつをインストールしたのです。
次に収納の件。リビングはスッキリと何もないのが理想ですが、コネクトではリビングにも必ず収納場所をつくったうえで、片づけられるよう提案しています。こたつを小上がり式にした時点で、リビング収納の役割は簡単に解決できました。こたつの奥側にはテレビ台を兼ねた造作家具を配置しました。雑誌や新聞、DVDプレイヤー、ちょっとしたお菓子などが置けます。また少し手間はかかりますが、小上がりになった畳を持ち上げれば、冬用のこたつ布団などの季節もの、少し大きなものを収納できるようになっています。
みなさんもリビングにソファでなくて掘りごたつという選択肢、いかがですか。
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