古いシャンデリアを生かしながら応接間を書斎にリフォーム @滝川淳
「応接間」。来客を迎え入れることを目的として家屋に設置される部屋(洋間)の名称。(Wikipediaより)この言葉自体が死語になった感もありますが、地方の古い家屋ではいまでも存在しています。ソファセットと造り付けの本棚があって、床はカーペットやフローリングという組み合わせが多かったようです。
リフォームの相談を受けた勝沼の家では、この応接間が使われない部屋として存在していました。ほぼ倉庫のような位置付け。それもそのはず、客を迎え入れるという使い方としては、畳を敷いた8畳の立派な和室が二室あり、そちらは今でも現役で使われる部屋として機能していました。和室というのは用途を限定しないところが使い勝手が良いのでしょう。少人数でも大人数でも座卓と座布団を用意すれば来客の場となり、布団を敷けば寝室にもなる。二室のうち一室は寝室として使われていて、もう床の間のあるもう一室は客間として活用されていました。
さてお話は使われなくなってしまった応接間のリフォームについて。夫婦で学校の先生をされていた施主は、仕事がらさまざまな本をたくさんお持ちでした。しかも退職後にもう一度大学に入りなおして勉強したい!という意欲までお持ちでした。それならば応接間は書斎として作り直して、落ち着いて勉強できる場にしましょう、ということになりました。
我々が書斎に提案したことは3つ。
1 天井までいっぱいの本棚を作って、蔵書を余すところなく納めましょう。
本の収納量を多く確保するには、長さよりも高さが有効だと考えています。天井近くの収納は手が届きにくいとはいえ、日常的に読む本でなければ、上の方にあっても問題ありません。また我々は蔵書の大まかなサイズと冊数のボリュームをつかんで、新書や文庫本が納まる奥行170mmの本棚、文庫や雑誌が納まる290mmの本棚、大型本が納まる350mmの本棚、の3種類に分けて整理をしました。
2 断熱性能、耐震性能確保のために北側のサッシは小さくして断熱性の高いサッシに交換しましょう。
3間、約2.6m幅の4枚引き違いサッシが北側の外壁面にありました。本棚を多くしたいので、写真にあるようにサッシは半間、約75cm幅の開きドアに小さくし、残りの壁は耐震性のある壁とすることで、建物全体の耐震性に寄与させています。
3 応接間であった記憶を引き継ぐために、シャンデリアを残しましょう。
シャンデリアはNational製。木製の額縁がついて、一部が堀上天井にできるようにセットになっていました。少し色あせた布クロスもセット。書斎には似つかわしくないと思いますが、入った時の違和感が住まい手にとっては「ああ、ここは応接間だった」と思い起こされる装置になっているでしょう。
北入りの玄関脇に位置していた応接間は、もともと明るさが入りにくい場所だったので、書斎にするにはもってこい。今はここで落ち着いて勉強されていることでしょう。
「照明」関連解説記事
家づくり相談
建築家31会メンバーの設計実績に基づく解説記事は、みなさまの家づくりのお悩みにお役に立てたでしょうか?
みなさまの家づくりのお悩みや困りごとが建築家との相談によって解決できるとお考えになったら、どうぞ下の相談フォームからお問合わせください。ご相談をいただく建築家を指定してくださるか、ご指定がない場合は相談係より相応しい建築家を推薦します。
ご相談は無料です。ご相談を頂いてもすぐに費用は発生しません。間取りプランの作成や土地探しなど具体的に費用が発生する場合は事前にご説明し、お客様のご納得を頂いてからになりますのでお気軽にお問い合わせください。
滝川淳+標由理 リレーブログ記事
- 寒い北側のお風呂を明るい南側に移動するリフォーム
- 超狭小地で木造3階建て注文住宅を建てるアイデア工夫
- 住まい設計のヒアリングは生活スタイル家族構成で部屋数は聞かない
- オープンキッチンに家事コーナー本棚収納カウンター造作を付けて便利に
- 家電オーブンレンジ炊飯器ポットトースターを収納したオープンキッチン
- 食品庫パントリー収納を設けて便利なオープンキッチン
- 対面オープンシステムキッチンを安く作る方
- 建築家が設計する注文住宅の模型の見方活用方法
- くつろぎの空間に外構庭ガーデンの景色を取り込む
- 急こう配階段をゆったり登れるように取り換えたバリアダウンリフォーム
- 気になる素材ー下地面材
- 気になる素材ー外壁タイル
- 築35年の住まいを終の棲家へリフォームする時間デザイン
- 子育てと親子を自立させるこども部屋の時間デザイン15年
- 太陽光発電パネルを設置するための屋根の材料設計形状デザイン
- 住宅のキッチン洗濯物干収納の家事動線を短くする間取りプラン設計
- お父さんのあこがれ「書斎」を客間の片隅にこっそり仕込んだ家
- 風呂浴室から直接外部庭物干しバルコニーに出れる家
- 西日を避けて暑い夏を快適に過ごす庇風通し設計デザイン
- 薪ストーブの火を見てくつろぐ時空間の設計デザイン
- 古いアンティークシャンデリアを活かして応接間を書斎にリフォーム
- 小型コンパクト住宅家に大きな出窓で広い視界を確保する工夫
- 居間リビングにフローリングソファより畳掘りごたつで床下収納
- 子ども部屋個室の多目的間仕切壁将来有効活用
− 最新イベント情報 −
オープンハウス(完成見学会)11/14 ひなたの家 @七島幸之+佐野友美
この度、アトリエハコ(@七島幸之+佐野友美)で設計監理を行った「ひなたの家」が完成致します。 お施主様のご厚意によりオープンハウス(完成見学会)を行わせて頂く運びとなりました。 この住宅は、建築家31会の家づくりイベント「建築家31会 展示・相談会・ワークショップ vol.30 at 江東区文化センター」をきっかけにスタートした ご夫婦とお子さんのための住宅です。 都市区画整理事業が進む街の中の、鰻の寝床。 街の歴史がスタートしたばかりのような均質でフラット...