陽当たりや風通しの良い注文住宅の間取りプランの設計図

敷地の周囲が家で囲まれていたり、敷地に段差があることで、陽当たりや風通しに不安がある敷地の家づくりで、建物の間取りプランの工夫で、十分な陽当たりと風通しを確保した事例を紹介します。簡単なようで難しいこの難題を解決した事例です。どうぞお客様の家づくりに反映させてください。

ワンルーム空間に可動家具や建具で工夫した「山見の家」(古川達也)

緑豊かな環境を活かした住宅です。1階は自転車ガレージと連続した多目的な個室。2階は家族の共有スペースです。屋内全体は、可動家具や建具の開閉で様々な居場所を生み出せるワンルーム空間で、あたかもキャンプ場のような大らかさをもっています。

採光や換気を考えて居心地のいいロフトを作りませんか「シホウニワの家」(滝川淳+標由理)

小屋裏収納、ロフトという言葉からイメージする空間は、物が置かれる薄暗い場所、というものではないでしょうか。真下にある部屋に付属するスペースという位置づけは間違っていないのですが、ちゃんと計画したロフトはとても居心地がいいのです。

採光、換気を確保し、場合によってはエアコンを設置。一つの部屋だけでなく、複数の部屋とつながっていると意外と簡単に採光換気は確保できるもの。

建築基準法の天井高さの制限として1.4mまでとなっていますが、小学生低学年のこどもなら普通に立って動ける高さ。大人でもキャスターの椅子に乗って移動すれば動けます。

写真にあるロフトの場合、縦格子の引き戸を開けると、リビングとつながることができます。奥に見える明るい場所はこども部屋とつながっています。左上に見える明かりはトップライトから落ちる光です。

写真には見えませんが、右側にエアコンを設置し、なぜかTV用のコンセントまで用意してあります。当初は簡易に作る予定だったのですが、こどもごころを持った施主のご主人が、大人男子のたまり場にしたい、との希望で現場に入ってからグレードアップしたロフトになりました。

あくまで収納スペースではありますが、居心地のいいロフトつくりませんか。

小さな分譲地の窓の設え「桜丘の家」(伊藤明良)

敷地は世田谷の閑静な住宅地で、近隣には生産緑地の畑が点在するのどかな田園風景にも恵まれている場所にあります。新しい小さな分譲地のひとつを購入したお施主様からの建築相談でした。

敷地面積約24坪、南北を旗竿敷地に挟まれた特異な分譲地です。隣地の路地部分が計画地にとっては周囲とのバッファ(緩衝帯)になることが期待できますが、ややもすると周囲からの視線が干渉してしまうことが心配されました。お施主様の要望は、この特異な敷地に自分たちの希望する間取りが納まるか?そして馴染みあるこの住環境にふさわしい住まいができるのか?というものでした。

提案は、限られた床面積に詰め込まれたボリュームに適度な抜け感を窓や吹き抜けを設えることで、閉鎖的に設えることなく、周囲の環境を緩やかに採り込める住まいを目指しました。

隣地の南北方向のバッファに対しては閉じながらも窓を積極的に設けることで、光と風を採り込める窓を、道路に対しては外部の雰囲気を感じながら階段室を介して間接的に室内に光を採り込める窓を設けました。

LDKの陽当たりを良くする工夫「横浜の兄弟の二連住宅」(北島俊嗣)

ご家族の希望をお聞きする

横浜の兄弟の2連並列住宅では、1つの敷地を分割してご兄弟家族がそれぞれ家を建てる敷地の位置が定まると、各ご家族のご希望をお聞きしました。この際、ご希望は紙に書くとか図にするなど整理しておく必要はありません。お考えのままを仰ってくださって構いません。

陽当たりが悪い

双方のご家族の共通のご希望と言うより心配ごとは、敷地がすり鉢の底にあるような位置にあり、周囲は背の高い建物に囲われていて、敷地の陽当たりが悪いことを非常に懸念しておられました。

何か工夫をして陽当たりの良い住環境にして欲しいという強いご希望をいただきました。

二世帯住宅二棟をつなぐバルコニー

変形敷地をほぼ同じ面積になるように2つに分割しました。分割した敷地の一方は、

・東西に長い左側の敷地
・南北に長い右側の敷地

となりました。

前面道路が南側に接しているので、同じ面積でも敷地の形が東西に長い左の敷地は、道路斜線高さ制限や北側高度斜線高さ制限を受けてしまい、建物は2階建てが限度でした。

一方、敷地の形が南北に長い右側の敷地は、道路斜線高さ制限や北側高度斜線高さ制限を避けることができて、3階建ての建物にすることが出来ました。

 → 関連解説記事「陽当たりを良くする工夫」

 → 関連解説記事「二世帯住宅の吹抜けリビングを明るくする天窓トップライト」

LDKに陽差しを取り込む

周辺を建物で囲われて陽射しが少ない環境でも、LDKに陽射しを取り込むために、2階建 および 3階建の住まいについて検討し、提案してご理解をいただきながら設計が進められました。

2階建ての家は、1階に配置したリビング・ダイニングの天井を吹抜にして、高天井を屋根まで延ばして、天井面屋根面に天窓トップライトを開けて、日中はリビング・ダイニングに常に陽射しを取り込み明るい空間にすることができました。

横浜妙蓮寺の兄弟の二世帯並列住宅

3階建ての家は、LDK=リビング・ダイニング・キッチンを2階に配置して、さらにリビング前面に拡バルコニーを接して設けて拡がりを付け足して、リビングにバルコニーから陽射しを引き込むようにする方針にしました。

横浜妙蓮寺の兄弟の二世帯並列住宅

著者情報

北島 俊嗣北島 俊嗣

北島 俊嗣 きたじま としつぐ

株式会社北島建築設計事務所

お客様の貴重な財産である土地や建物を第一に守り、 より美しくデザイン性の高い豊かな建築環境を実現しています。

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「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...