「家を建てる」ということ @余田正徳
「家は買うものではなく、つくる(建てる)もの」とはよく言われていますが、私自身もそう思います。事情により、家をつくる(建てる)のではなく、(建売・マンション等を)買うという選択をせざるを得ない方もいるとは思いますが、自分の家を「ほしい!」と考えられている方には、是非ともつくる(建てる)という選択をして頂きたいものです。
建売住宅やマンション等は型にはまった標準的なプランがほとんどで、多くの方が住みやすいだろうという「一般解」としての家です。しかし、今まで設計してきた家は、ふたつとして同じものはなく、敷地条件や要望等により、それぞれが異なる「特殊解」としての家です。今後、長年過ごす住まいを考える際には、自分や家族の個性を活かし、包み込むような自分(家族)だけの家をつくる(建てる)ことを想像してみてください。
実際、買うにしてもつくる(建てる)にしても、数千万円(数億円)という大金がかかります。「与えられたものに住むか、住みたいものをつくるか。」金額や期間に差はありますが、その差に悩むよりも、自分だけの家で生活することの方が、より豊かに暮らす事が出来ると考えたほうがいいのではないでしょうか。よく、さがりのスーツとオーダーメイドのスーツ、コンビニ弁当と手料理、などと例えられることもありますが、簡単に買うのではなく、自分にあったものをつくって(建てて)頂きたいと思います。同じように大金をかけるのであれば尚更で、もったいないとも思ってしまうこともあります。
金額的な価値にしても、買うよりもつくる(建てる)方が有利だという例を上げますが、あくまでも参考程度としてお読みください。
例えば建売住宅の場合、土地と建物(30坪程度)をあわせて数千万円だとします。
実際、建物の工事にかかっている金額は1500万円以下がほとんどだそうです。
それを土地と建物の金額が合算なため分かり難いですが、建物価格は500万円近く高い金額で価格設定をしているそうです。その差額は建売業者などの経費となっています。つまり、1500万円の家を2000万円で買っているということです。
それに比べ、つくる(建てる)場合は、工事費の金額のままの家をつくることが出来ます。また、マンションの場合は、1住戸約80㎡程度だとすると、数千万円の価格設定ですが、実際は1住戸の工事費は1000万円程度だそうです。ただ、共用部等も利用できますので、あくまでも1住戸の工事費としてお考えください。いずれにしても、家をつくった(建てた)方が、かけた金額のままの家を手に入れることが出来るということです。
家はつくる(建てる)方がいいのは、上記のような相対的な理由だけでは当然ありません。私も最近、土地探しから家を建てました。(詳しくは「リレーブログ」にて)敷地の条件やコストにより、全てを満たすことはなかなか困難でしたが、概ね満足する家を建てることが出来ました。自分たちの生活スタイル・好み・寛ぎ・動線など、じっくりと考えてつくり、その過程を含めて、とても充実し大満足しています。一生のうちに、そう何度も出来る経験ではありません。
その充実感・醍醐味を是非とも味わって頂きたいと、強く思っています。
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「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...