住まいの室内建具や造作家具の材料と仕上げ @石井正博+近藤民子

今週の “リレーブログ” を担当します、設計事務所アーキプレイスの石井正博+近藤民子です。

住まいの中で重要な役割を担っている室内建具や造作家具。住まいの個性を表すインテリアの要素であるにもかかわらず、その材料や仕上げの種類について、一般の方には意外と知られていないと感じることがあります。
今回のリレーブログでは、そんな室内建具や造作家具に使われる材料と仕上げについて、事例をご紹介しながら書いてみます。家づくりやリノベーションなどの参考にしていただけると幸いです。

【1】シナ合板

室内建具や造作家具に欠かすことができないシナ合板。比較的安価で、大工さんでも扱いやすいため、木目(杢目)生かしたクリア塗装仕上げ、木目を残して好みの色に仕上げることができる着色仕上げ、白く塗りつぶす塗装仕上げなど、様々な使い方ができる代表的な材料です。


書斎に設けた本棚とデスクはシナランバー合板で大工さんが造作。シナ合板フラッシュの収納扉は建具屋さんが取り付け。デスク前もシナ合板で仕上げ、クリア塗装を施してインテリアに統一感を持たせています。
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左:ロフトと屋上テラスへの箱階段をシナ合板で造作。クリア塗装仕上。
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右:デスクと収納扉をシナ合板で造作。クリア塗装仕上。
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左:玄関の収納扉はシナ合板フラッシュの上、白塗装仕上。
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右:子供室の収納扉はシナ合板フラッシュの上、白塗装仕上。
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シナ合板で造ったリビングの家具は、部屋の雰囲気に合わせて木目をうっすら残した白塗装の拭き取り仕上。
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左:本棚と建具は色を合わせてシナ合板のチーク調の着色仕上。
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右:書斎コーナーのデスクと本棚、クローゼットの建具は、やシナ合板にダークブラウンの着色仕上。
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【2】ラワン合板

60年代や70年代の家具やインテリアが見直される中で、リバイバルした感のあるラワン合板。シナ合板に比べてざっくりしたインテリアに使いやすく、無塗装や茶系の着色仕上げが向いていますが、世代によって好き嫌いが別れる材料です。ラワン合板は下地にも使われる安価な材料でしたが、価格は上がりつつあります。


ラワン合板で造った子供室の物入れとクローゼット。色むらを軽減するようブラウンの着色仕上。
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左:家族の郵便を仕分ける状差しと、寝室出入り口の引き戸を同じラワン合板で造作。
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右:親世帯の寝室の建具や仕切り壁にラワン合板を使い、お持ちの濃いブラウンの箪笥と色合わせ。こちらは、ラワン合板の柾目を使っているので、荒々しさはありません。
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【3】天然木の突き板合板

天然木の突き板合板は、部屋のインテリアや好みに合わせて木の種類や木目、仕上げの色やツヤを選ぶことができる材料です。木の種類としては、ナラ(オーク)、ウォールナット、チーク、タモ、バーチ、メープルなどがあり、木目には、柾目、板目、杢目(もくめ)があります。また、着色したりツヤを選ぶことで、様々なバリエーションが生まれます。家具屋さん、建具屋さんの扱いになるので高価な仕上げ材料です。


ナラのフローリングに合わせて、ナラの突き板合板(柾目)で製作した寝室のテレビカウンター収納と入り口の建具。
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左:床の色に合わせてウォールナット突き板合板(板目)で製作した寝室の家具。少し茶色を加えて濃い色にしたあとクリア塗装で仕上げています。
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右:メープルの突き板合板(杢目)で製作したオーダーキッチン。クリア塗装仕上げ。
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【4】ポリ合板とメラミン化粧合板

ポリ合板(ポリエステル樹脂化粧合板)は、 合板の表面に化粧紙を貼り、そこにポリエステル樹脂を塗布しフィルムをかけた後に樹脂を延ばして硬化させたものです。 表面はツルツルとした光沢のある表情をしていて、色や柄が豊富に揃っています。
メラミン化粧板(高圧メラミン)は、樹脂含浸紙とフェノール樹脂クラフト含浸紙を積層して熱圧成型する厚さ1mm程度の樹脂化粧板で、合板などの基材に接着して使います。水や傷にも強く、キッチンや水回りにも使え、色や柄が豊富に揃っていますが、高価な部類の材料で家具屋さんが扱います。

子世帯のダイニングキッチンの家具は、ワークスペース側はポリ合板の仕上げで、キッチン側は水にも強いメラミン化粧合板の仕上げですが、同じ木目の色柄を使うことで費用を抑えつつ一体的な家具に見せています。
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左:階段下に設けたトイレの背面収納はメラミン化粧版仕上。仕事のテンションを上げるため、建て主の方はビビットな赤を選ばれました。
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右:板張りの壁の素材感に負けなように、モルタル模様のメラミン化粧版で造ったトイレ内の手洗いカウンター収納。排水経路を壁に沿って設けているので複雑な形状となっています。
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左:玄関収納扉はポリ合板フラッシュ仕上。
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右:廊下の収納扉(折れ戸)は費用を抑えるためポリ合板フラッシュで製作。通常は白いテープを貼って仕上げる大手と言われる建具の木口に、厚さ10mm程度の無垢の木を貼り付けてポリ合板の人工感を削ぎ、アンテッークなバーンドアとの調和を図っています。
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【4】和紙貼り、ビニルクロス貼、シート貼

室内建具の場合は、インテリアの雰囲気に合わせたり、壁と一体に見せるために、和紙やビニルクロス、シート(オレフィンシート、ダイノックシートなど)を貼って仕上げることができます。


親世帯のダイニングキッチンの横にある小上がりの和室。普段ば壁の中に隠れていて必要な時に引き出して使う引き戸には、和室側とダイニング側の双方のインテリアに合う生成りの和紙を貼っています。
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【5】積層合板、板張り、組み合わせ

室内建具や造作家具を造る材料には、ここまで紹介した材料の他にも様々な材料や仕上げ方があります。また、それぞれを組み合わせることもできるため、オリジナルな室内建具や造作家具の仕上げ方には無限の広がりがあります。

バームクーヘンのような切り口の縞模様が美しいロシアンバーチ積層合板で造った家具。カウンター、箱組み、扉、可動棚を全て同じ材料で製作。
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左:パインの無垢板フローリングに合わせて、壁にもパインの板(フローリング材)を張った壁。引き戸もそれに合わせてパインの板を張った仕上げに。
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右:木の色と白を組合わせた本棚。縦て板は白のポリ合板で、横板(可動棚)はシナ合板の着色仕上。白い縦板がリズム感を与え、本の出し入れで傷つくこともある横板の表面の傷や汚れが目立ちにくくなります。
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ガラスと格子を組み合わせた間仕切り壁とデザインを同じにした建具を製作。
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ここまで室内建具や造作家具について書いてきました。今回はご紹介していない既製品の建具には、各メーカーから様々な製品がでています。無限とも言える選択肢の中から、自分の好みの仕上げを探し出したり、オリジナルな材料にチャレンジしてみるのも、家づくりの楽しさの一つかもしれません。

 

設計事務所アーキプレイスでは、石井正博と近藤民子の男女ペアの視点を活かして、暮らし易さと(光と風、家事動線、収納など)とデザインのバランスのとれた心地よい住まいをご提案しています。

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著者情報

石井 正博 + 近藤 民子石井 正博 + 近藤 民子

石井 正博 + 近藤 民子 いしいまさひろ こんどうたみこ

設計事務所アーキプレイス

「敷地とライフスタイルを活かした家づくり」をテーマに、暮らしやすさ(温熱環境・家事動線・収納計画など)、デザイン、コストのバランスのとれた質の高い家づくりを建て主の方と一緒にめざします。

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