『間取りの模範解答』 窓ベンチのある居場所とファミリークローゼット @石井正博+近藤民子

2025年8月5日に出版された、建築家31会の新刊『間取りの模範解答:心地よい住まいをつくる建築家の視点』に、設計事務所アーキプレイスの設計監理した住宅『心地よい窓ベンチのある家』(P38~39)が掲載されています。
誌面では伝えきれなかった完成写真や図面を交えて、この住まいの魅力を詳しくご紹介します。

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心地よい窓ベンチのある家

住まいには、心地よく過ごせる場所と、暮らしを効率よく支える仕組みの両方が大切です。
この住宅では、家族が自然と集まる窓ベンチのある居場所と、幅広い廊下を活用したファミリークローゼットによって、居心地の良さと整理しやすさを両立しました。
限られた床面積の中で無駄をなくしながら、暮らしの質を高めることを目指した住まいです。

1.家族の居場所になる、長く連続する造作家具

建主の要望は、「みんなが使いやすい場所に本棚をつくりたい、窓ベンチがほしい」というものでした。
そこでLDKの壁一面に、長く連続する造作家具を計画しました。
窓辺はベンチとなり、本棚となり、和室ではデスクとなり、テレビもその中に収まります。
用途を限定しない家具とすることで、座る、読む、作業する、くつろぐといった、さまざまな過ごし方を受け止めます。
キッチンで料理をする人、ダイニングで食事をする人、窓ベンチで本を読む人。
同じ空間にいながら、それぞれが自分の居場所を見つけ、家族の気配を感じながら過ごすことができます。

2.廊下を、ファミリークローゼットにする

個室へ向かう動線は、幅広い廊下として計画しています。
ここは単なる通路ではなく、ファミリークローゼットを兼ねた空間です。
家族の衣類をここにまとめ、そこからそれぞれの個室へ入ります。
収納を個室から切り離すことで、個室は最小限の広さでも快適に使えます。
廊下は、通り過ぎるだけの場所から、暮らしを整える場所へと役割を広げました。

3.変化を受け止める、広めの主寝室

子供部屋は2室を希望しつつも、当面は主寝室を広めに確保し、個室はひとつとしました。
将来、もう一人子供が増えた際には、主寝室を分割して個室として使える計画としています。
あらかじめ変化を受け止める余裕を用意することで、住まいは長く使い続けることができます。

子ども部屋は、将来2室に分けられるよう、あらかじめ広めに計画しておくケースが一般的です。
一方で、子ども室はひとつにとどめ、その代わりに主寝室をゆとりある広さで確保しておき、家族構成の変化に応じて主寝室を分割するという考え方もあります。

将来の使い方を柔軟に想定しておくことで、住まいはより長く、無理なく暮らしに寄り添うものになります。

4.動線の合理性と、小さな居場所

玄関とキッチンを近づけることで、買い物から収納までを短い動線で行えるようにしています。
また、LDKから離れた場所に、小さな書斎も設けました。
家族と過ごす場所と、ひとりで集中する場所。
どちらも無理なく共存しています。

窓ベンチのような心地よく過ごせる場所と、ファミリークローゼットのような暮らしを支える仕組み。
その両方をバランスよく計画することで、住まいはより快適で使いやすいものになります。
「どのくらい広いか」ではなく、暮らし方を丁寧に考えること。
限られた面積の中でも、心地よさと使いやすさは両立できる——この住宅は、その可能性を示しています。

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著者情報

石井 正博 + 近藤 民子石井 正博 + 近藤 民子

石井 正博 + 近藤 民子 いしいまさひろ こんどうたみこ

設計事務所アーキプレイス

「敷地とライフスタイルを活かした家づくり」をテーマに、暮らしやすさ(温熱環境・家事動線・収納計画など)、デザイン、コストのバランスのとれた質の高い家づくりを建て主の方と一緒にめざします。

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