見直しの住居学02(畳の部屋をつくろう)@栗原守+小泉拓也

東京は朝から冷たい雨が降っています。
さて2日目の今日は和室(畳の部屋)のお話です。

現在では、和室を計画することは残念ながら少なくなってしまいましたが、和室には洋室にない使い勝手のよさがあります。ベッドを置いた洋室は寝室という用途に限られてしまいますが、和室の場合は、布団を押し入れにしまい、掃除機をかければ、朝食の場や茶の間に変わり、お客様を通すこともできます。ひとつの部屋に何とおりもの使い方があるという点で、和室には洋室にない「融通性」があります。昔からの日本の和室の使い勝手のよさをもう一度見直す必要がありそうです。

和室といっても、決まりきった化粧柱に鴨居、長押、竿縁天井といった和室本来の意匠にこだわることはありません。現代的に割り切って、畳敷きの多目的なスペースを計画すると考えれば、使い方も住まい方ももっと楽しくなるはずです。

たとえば、畳のリビングもあります。

リビングといえばフローリングと決まっているわけではありません。最近の若い建築主さんで畳の好きな人がいて、リビングダイニングを12畳の畳敷きにしました。大きな掘りこたつを真ん中に設置して、冬も夏もこの掘りこたつを中心にして生活しています。お客様が何人きても、座布団さえ用意すればそれで済みます。さらに畳に座って目線が低く暮らせるので、12畳の部屋がそれ以上に広く感じるメリットもあります。天井も実際よりも高く見えます。床暖房をしなくても暖かく過ごせます。畳のリビングはこれからの小さな住まいにはおすすめだと思います。

若い人の住まいでは縁のない畳もよく使います。

リビングのコーナーに畳のスペースを計画するような場合は縁なしの半畳サイズの畳を使うと和風になりすぎず、洋風のリビングに感じよく馴染むようです。4畳半で9枚の畳になるので、コストはちょっと上がりますが畳表の目を互い違いになるように敷き込むと市松模様のとてもおしゃれな畳スペースになります。

寝室を和室にするケースも最近は多くなっています。

特に若い建築主さんの場合に多いのは、布団の上げ下ろしが苦にならない年齢なのと、普段から上げ下ろしで体を使っていれば、腰の運動にもなって高齢化対策にもなるとの考えもあるようです。こういう場合は和室というよりも、フローリングの替わりに畳を敷いた部屋という感じが強く、布団をしまう押入は計画しますが化粧柱や鴨居はつくりません。昼間はお花の稽古に使ったり、冬はこたつを出してお客様をもてなしたり、子供たちが友達を連れて来たときは臨時の遊び部屋になったりしています。

資源を無駄にしないためにも、これからは小さくつくって大きく暮らすことが大切になります。畳を敷いた多目的な部屋、これからの小さな住まいには魅力ある空間だと思います。
tatami[2]
畳のリビングの例です。大きな堀座卓を中心に目線を低くして暮らします。畳に座ってのスタイルが多くなりますので、天井を低くしても高く感じるというメリットもあります。

>>栗原 守+小泉 拓也/一級建築士事務所 光設計 建築家31会のページ
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著者情報

栗原 守 + 小泉 拓也栗原 守 + 小泉 拓也

栗原 守 + 小泉 拓也 くりはらまもる こいずみたくや

一級建築士事務所 光設計

「呼吸する住まい」をテーマに自然素材と自然エネルギーを有効に利用するエコロジーな住まいを建築主さんと2人3脚で設計しています。

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