家を建てるときにかかる費用について1-土地編 @菰田真志+菰田晶
今週のリレーブログを担当します菰田建築設計事務所の菰田真志です。
今回は数回に分けて家を建てるときの費用について書いてみようとおもいます。
家を建てるときの費用というとわかりやすいのはまずは建物自体の『建築費』があります。あとは土地を購入するのであれば『土地の購入費』です。今回は土地の購入費用とは別に土地自体の条件などによってかかってくる費用の話を書いてみます。
【土地関連の費用】
まずは『土地を購入』して、さて家を建てようという段になって、じつはこの土地はこんな費用がかかるのか!ということがよくあるのが『地盤改良・杭工事費』です。地盤が悪い場合には家の規模に応じて地盤改良工事が必要になることがあります。これは実際に『地盤調査』をして、建物計画が進まないとはっきりした金額は出ませんが、どんな規模でも工法でも最低でも60万~100万程度はかかってくることが多いです。工法や杭の深さが深くなればもっとかかることももちろんあります。ネット上で入手できる情報である程度想像できるものもありますが、ある程度専門知識が必要なので、土地購入前に専門家に相談することをおすすめします。
鋼管杭の施工風景
※過去に弊社のHPに書いた土地についての記事がありますのでご興味のある方は御覧ください。
考えていること-土地について
http://www.archi-komo.co.jp/ideas/what_ideas_site.html
先程簡単に『地盤調査』といいましたがこれもいろんな種類がありますが、木造住宅でよく行われるスウェーデン式サンディング(SS)調査で約3万から5万程度。RC造の建物でよく行われるボーリング調査は1本で30万~50万程度かかることが多いです。
スウェーデン式サンディング調査の機械
地盤の高低差(レベル)は設計時に必要になります。道路が坂だったり下がっているときや敷地が傾斜しているときなどは敷地のレベルがわからない場合には『レベル測量』の費用がかかります。これは建設会社が決まってからで済む場合と設計の最初で必要になる場合がありますが、可能なら地盤調査のときにレベル測定をしますので、追加でレベル測定をしてもらうのが費用的によいと思います。敷地形状の『測量』をかけるのであればそのときに一緒に測ってもらいましょう。
最近では思わぬ出費につながるのが既存のブロック塀の『撤去費』というのもあります。近年確認申請で厳しく扱われることが増えたのがこのブロック塀。高さ1.2M以上のブロック塀には控え壁等が必要になりますが、古い塀はこの基準を満たしていないことが多く、塀のやり変えや高さの変更で思わぬ出費になることがありますのでご注意を。
既存ブロック塀がある場合には状況を確認しましょう。
水道管に引き込みが入っていなかったり、前の家がオール電化でガス管が引き込まれていなかったりした場合には、そういった『ライフラインの引込工事費』がかかる場合があります。ガスに関しては引込工事自体は費用負担がなくても、前面道路の掘削費用がかかる場合があります。
高低差の大きい土地を購入される場合には、擁壁がどんなものかによって『擁壁のやりかえ工事』が発生する場合があります。これは規模によってとても金額のかかる工事になる場合があります。たとえばひな壇状の敷地の場合、自分の敷地に接する擁壁が隣地のものか、自分の土地のものかによっても大きな影響があります。擁壁に問題ある場合には建築費にその分が跳ね返ってくることもありえます。土地購入前しっかり専門家に調べてもらうことをおすすめします。前面道路が狭かったり道路から土地が上がっている場合も建設工事費に跳ね返ることがあります。
過去に土地購入後に基礎工事をはじめたところ、古い井戸が出てきたことがあります。大きな敷地の北側等を分割した土地でした。その時は昔使っていたものが残っていて地盤調査のときに偶然発見されました。土地購入前に地中の隠れた瑕疵として扱われることは確認していましたので、売り主負担で対処しましたが、井戸に限らず隠れた瑕疵に関しては確認しておきましょう。(土地購入時の重要事項説明として説明があるはずですが・・・。)
地盤調査時に偶然見つかった古い井戸
かならずある話ではありませんが、隣地との地境に関しては、隣地との共有は避けるべきだとおもいますので、地境がどうなっているかは確認しておきましょう。大きな敷地を分割して分譲する場合に、お隣から共有で(隣地境界中心に)地境の塀を立てることを提案されることがあります。われわれがそういった相談を受けた場合にはできるだけ断ることにしています。金額面でもめたり意匠的に自由にならないなど作るときのトラブルだけではなく、将来のメンテナンス費用の問題や、隣地の所有者が変わってからのトラブルなどお隣関係のトラブルを避けるためには自分の土地の内部で自分の費用でやっておくことが望ましいと思っています。
ほかにも細かい話がでてくることがありますが、土地にまつわる費用の話は一旦終わりにしたいと思います。
(有)菰田建築設計事務所
菰田真志 + 菰田晶
http://www.archi-komo.co.jp/
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