アパート賃貸物件を木造3階建か鉄筋コンクリート4階建かの見極め方法
来たる5月11日(金)~13日(日)の3日間、横浜赤レンガ倉庫1号館にて、建築家が実際に設計した住宅などの写真・模型を持ち寄って、家づくり相談会とトークショーを開催します。
アパートや賃貸建物の階数と構造
アパート賃貸物件の建物を、木造3階建てもしくは2階建てか、鉄筋コンクリート造4階建てにするかの見極め方法と題して、アパート賃貸物件について建築家本人が設計した具体例を示しながら、お話しします。
既に土地を所有されている大家さん、これから土地を購入して賃貸物件を計画される方が、賃貸建物の規模や構造を決定する場合の見極め方法は数種類になります。
賃貸計画をされている皆様におおよその見極め方法をお伝えして、的外れのない建設予算支出や家賃収入の組み立てをしていただきたいと思います。
→ 関連解説記事「杉並永福の木造3階建て共同住宅賃貸アパート」
用途地域指定による高さ制限
住居系だと高さは10mを限界点として、10m超えると制限が厳しくなり、3階までが建物の高さの限界になることがよくあります。
木造は一般的な構造設計としては3階建てまでなので、住居系の用途地域の場合、3階建てまでが多いのはこのためです。
さらに住居系でも「第1種低層住居専用地域」は高さ制限が厳しく、2階建てが限度です。
また住居系の用途地域でも敷地が広くない場合、特に南北方向の長さが確保できない場合は、北側隣地斜線制限(高度斜線制限)が加わり、3階建て厳しくなる場合があるので、隣りの敷地に3階建が建っているから、自らの敷地も同様であるとは限りませんので、確かな検証が必要です。特に不動産会社様の判断は度々見まがうことがありますので注意してください。
防火地域指定に耐火建築制限
敷地が防火地域の指定を受ける場合で、床面積が100m2を超えると「耐火建築物」にしなければならなくなります。
耐火建築物になるためには、鉄筋コンクリート造にするか、木造でも特別な工法で耐火建築物にしなければなりません。
容積率指定による面積制限
敷地はその場所によって用途地域と容積率(敷地面積に対する床面積の限度の割合)が定まっています。この割合により、容積率が例えば300%を超えると、4階建て以上が可能になる場合があります。
4階建て、もしくはそれ以上の階数が建てられると、木造ではなく鉄筋コンクリート造が選ばれることになります。
なお容積率は地域により固有の割合が定まってはおりますが、前面道路の幅員が12m未満の場合は低減されてしまうので注意が必要です。
(住居系は幅員×0.4、商業系は幅員×0.6 となります。例えば第1種住居地域で幅員5mの場合は、6m×0.4=2.4・・・240% となります)
工事費単価による制限
木造と鉄筋コンクリート造の構造別工事費の坪面積あたりの単価には大きな差があり、
- 木造:90〜120万円/坪
- 鉄筋コンクリート造:140〜180万円/坪
の、差があります。値段は設備まで含んだ値段です。
当然のことながら、ご予算によって計画できる構造種別が判明します。
銀行融資の条件による構造条件
建設費用を銀行および金融機関の融資を受けて行う場合、構造種別により融資額や返済期間の条件が変わることがあります。銀行によりこの条件は異なります。
現在アパート賃貸物件についてご検討をされている方には、多少でも参考になれる内容と思います。実際に建物を計画する建築家の設計方法を見て見てください。この機会をお見逃しにならず、ぜひご来場ください。
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