傾斜地の住宅のメリット・デメリット2 @石井正博+近藤民子
今週の“リレーブログ”を担当しています、設計事務所アーキプレイスの石井正博+近藤民子です。
今回の“リレーブログ”では、「傾斜地の住宅のメリット・デメリット」と題して、傾斜地(段差地・高低差のある敷地)を購入しようとするときに気をつけなければいけないポイント、傾斜地に住宅を建てる場合の注意点、傾斜地の特徴を生かして工事費を抑える工夫について、事例を交えながら3回に分けて書いています。
■擁壁工事・造成工事について
傾斜地に住宅を建てる場合、擁壁を作って盛り土し、土地を平坦に均した上で、家を建てる場合が一般的です。
傾斜地を造成すると、盛り土した部分は地耐力が低く、地山の切り土部分との地耐力の差が大きくなるので、地盤改良が必要になります。
この場合、地盤改良の費用を別にすれば、建築工事は平坦地と変わらなくなりますが、造成工事費はとても高くついています。土地が安く買えた以上に造成費用がかかってしまう場合もあり、トータルで考えると決してお得とは言えなくなっています。
また、建てる建物のプランや形が決まっていないのに、擁壁や造成工事だけを急いでしてしまうことも賢明な方法とは言えません。
私たち建築家が傾斜地に住宅を計画する場合、できるだけ傾斜地の地形を生かしたプランや断面構成とすることで、傾斜地ならではの住まいを作れないかと考えます。また、造成工事や擁壁工事の量を抑えることで費用の無駄をなくし、その分を建築工事費に回すことを考えます。
■傾斜地を購入する前に
傾斜地を購入する前には、建築家に土地の調査や概略でもいいのでプランの作成を依頼することをオススメします。
建築家に土地の調査やプランの作成を依頼することには、次のようなメリットがあります。
1)その土地の法的な制限について教えてもらえる
2)どのような建物が建つか、事前にある程度知ることができる
3)建物とそれ以外にかかる費用の概略を把握できる
傾斜地 Cace.2 『TNMハウス』
東西方向に3m(1層分)の段差のある敷地に建てた、地下鉄筋コンクリート+地上木造2階建て(SE構法)の注文住宅。
3方向に必要となる土留め壁を地下躯体(壁)と兼ね、地下扱いの道路レベルにガレージと玄関を設けています。
地下の玄関から上階のスキップフロアへと繋がる階段は、リビングイン階段として空間に広がりを与えていますが、玄関はLDKとは異なる階にあるため、生活空間の落ち着きは保たれています。
>>TNMハウス
>>TNMハウス 家づくりの過程はこちら
傾斜地 Cace.3 『太陽の光を感じる家』
高さ2.3mの擁壁のあった敷地に建てた、地下鉄筋コンクリート+地上木造2階建て(SE構法)の注文住宅。雛壇状の造成地の擁壁の一部と外階段を壊して、地下レベルから直接入れる位置に玄関を設け、アプローチの仕方を根本的に変えた計画。
アプローチレベルの半屋外のポーチ(地下扱い)から玄関に入れば、雨に濡れずに地上の生活空間まで内階段で行くことができます。緑も植わる半屋外のポーチを地下に作ったことで、採光や通風の機能面だけでなく、地下空間の気持ち良さが高まった事例です。
>>太陽の光を感じる家
>>太陽の光を感じる家 家づくりの過程はこちら
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傾斜地の住宅のメリット・デメリット2
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