世の中に無いものをつくる_オーダーメイドの世界3「ドリンクコーナーの造作家具」@石川 利治
ドリンクコーナー背面のオーダーメイド造作家具の製作について、引き続き沖縄のプライベートヴィラでの事例を取り上げます。
今回のレストランでは調理カウンターの対面(お客様座席の背後)にドリンクカウンターが設けられています。メインカウンター上で繰り広げられるお料理の様子に集中して頂きつつ、お客様の後方からのサービスをスムーズに行える様な配置関係といえるでしょう。ドリンクカウンターでは飲みもの全般を作りますが、今回は会計の機能も組み込まれています。ホテルに併設されているレストランであるため、宿泊のお客様は店内での会計を行いませんが、お食事のためにご来店される方は席でのお支払いを行います。お客様のエリアにある背後のカウンターがサービスをよりスマートに進めるために一役かっています。
今回の製作家具も秋山木工さんの製作です。製作にあたっては、事前に図面での検討を詳細に行いました。この造作家具に収納されるものは以下の様なものです。
カウンター上部
・ドリンク類のボトル
・グラス
・エスプレッソマシーン
カウンター下部
・冷蔵庫、製氷機などの厨房機器類
・会計用のドロワー、レシートプリンター
・その他、マニュアルや小物の収納
様々な機器類は幅、高さ、奥行きといった大きさと同時に電源や給水、排水といった設備対応が必要になります。今回は主に電気関係の対応が必要だったためコンセントの位置と通線経路の検討を行っています。会計用の機器同士の接続は無線で行える物が採用されたため、通線経路は考慮に入れずにすみました。
ドリンクのボトルやグラスは液体とガラスといった光を通す透過素材であるためライトアップによる空間の演出に効果的といえます。今回の収納は板状の四角フレームで構成されていますが、ものを置くといった機能を満たしつつ背後からの照明効果を得られるよう計画されています。基本はカウンター上部で自立するような構造になっていますが、振れ止めとして四角フレームのコーナー部にスチールパイプによって固定されます。工場での中間検査で、組み立て時の様子を確認することができました。塗装仕上げ前の状態ですが、家具全体のポリューム感や細かな背面の作り込みを確認する事ができました。また、お施主様と一緒にご確認を頂き、その場でお褒めのお言葉を頂けたのが何よりの嬉しかった事を記憶しています。
棚を背後の壁から少し離して設置し、棚板の壁側木口に彫り込みを設けてライン形状のLEDを組込み、壁面を照らす様な作り込みをしています。光源が直接目に入らず、壁面に光のグラデーションを生みつつ、ボトルやグラスが光を湛えるような、奥行きのある空間が生み出せたのではないかと思います。
石川利治[3*D空間創考舎一級建築士事務所]
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