音楽室のある家をつくる-2@菰田真志+菰田晶
今週のリレーブログ担当の菰田(こもだ)建築設計事務所の菰田真志です。
昨日に引き続き音楽室に関して書こうと思います。
今日は遮音能力:D値 壁、屋根の仕様、材料についてです。
遮音は防音といえばよくわかりますが、音をできるだけ家の外に出さないまたは入ってこないようにすることです。基本的に壁や屋根の材料を音を遮る材料と施工方法・・・平たく言うと重くて隙間なく施工することで遮音性能を上げてゆきます。
できるだけ遮音性能をあげたいと考えるのであれば、RC造で地下の音楽室を造るのがもっとも安心な方法です。ただし費用もかかってきます。音源の種類や周囲の環境、使用時間等が許すならば木造で地上でもある程度のレベルまで遮音レベルを上げることは可能です。
今回の提案では金額的なことを考えて建物を木造で提案しました。遮音性能はD-45~50程度の計画です。一般にピアノ室等ではD-50~D-55程度の設計をする場合がおおいと言われています。(RC造の150mmの壁がだいたいD-50程度だといわれています。)
ここででてきたD値というのは遮音性能を指す指標で、「壁に入る音(入射音)のレベルと、壁を透過する音(透過音)との音圧レベルの差をデシベル(dB)で表した透過損失【D値】」で表します。80dBの音を家の内部で出したときに、家の外で30dBに減衰して測定される遮音性能をD-50と表現します。平たく言うと「50dB遮る性能」ということです。
遮音するために使う材料は比重の重い材料を使うことが基本です。
壁の下地にプラスターボードを使うことが多いですが、通常より厚い材料を一枚貼ではなく二重貼にして継ぎ目を重ねないようにしたり、端で隙間が空いたりしないようにシーリング処理をしたりと、空気の通り抜ける隙間を作らない施工が実は非常に重要です。良い材料を使っても施工がいい加減だと遮音性能がはっきり下がってしまいます。
断熱材はセルロ-ズファイバーで提案しました。きちんとした施工をすれば、柱間にきっちり吹き込んで隙間を埋めて、他の断熱材に比べて比重もあり、断熱や湿気に対する性能もしっかりしているので、遮音性能を上げたい場合には非常に有用な断熱材だと思います。セルローズファイバーは幹線道路や鉄道の軌道の近く、学校の隣など音が気になる場合にも良いと思います。
外壁はラスモルタル+塗装としました。
屋根も同じ仕様で仕上材は板金です。
先程「D-45~50程度の計画」と書きましたが、材料的にはD-50だせる設計ですがトータルの施工精度を考えて最低でもD-45ということで表示をしました。繰り返しますが実は施工精度が非常に重要です。
もっと性能をあげようと思う場合には、遮音壁を二重にしてお互いに触れ合わないようにする「浮き遮音層」という方法を取ればもっと上げることは可能ですが、音楽室の面積が小さくなったり費用がかかったりしますので、今回は見送っています。浮き遮音層はドラムなど振動が伝わるばあいには非常に有効な方法です。
建物の外壁(屋根)に対してはすべて前述の遮音壁で施工し、音楽室と他の部屋との間も同等性能の遮音壁と遮音床で囲っています。
遮音性能はあとであげることは難しいので、まずここをキッチリすることが安心して楽しく音楽室を使うには重要です。
明日は開口部の性能に関して書いてみたいと思います。
よろしくおねがいいたします
(有)菰田建築設計事務所 菰田真志
http://www.archi-komo.co.jp/
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