住宅の窓周り カーテン・ブラインド選びと設計時のポイント @石井正博+近藤民子

今週の “リレーブログ” を担当します設計事務所アーキプレイス石井正博+近藤民子です。

私たちは男女ペアの視点を活かして、暮らし易さと(光と風、家事動線、収納など)とデザインのバランスのとれた豊かな住まいをめざし、「敷地とライフスタイルを活かした家づくり」をテーマとして設計活動をしています。

 

今回の“リレーブログ”では、「住宅の窓周り カーテン・ブラインド選びと設計時のポイント」と題して、窓装飾(ウィンドウトリートメント)のカーテン、ローマンシェード、ロールスクリーン、ブラインド、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーンについて、それぞれの特徴と設計中に押さえておきたいポイントを書いていきます。

1.カーテン
カーテンはドレープ(厚手の布)とレースの組み合わせで、上部にカーテンレールを取り付けるシンプル構成で、ドレープ、レース、カーテンレールまで色柄から様々なスタイルまで豊富に揃っています。低価格のものから高価格のものまであるため、部屋の雰囲気や予算に合わせて選びやすい窓装飾です。故障も少なく、着脱も簡単で、洗濯ができるものがほとんどと扱いが簡単なことも特徴です。

 <設計時に押さえておきたいポイント>
カーテンは横に引いて開けた時に、両サイドにカーテンの溜まりが残ります。見た目にもボリューム感があり、室内側へも20センチ程度飛び出すので狭い部屋がより狭く感じられるキケンがあります。カーテンは一般的に溜まりが窓(ガラス)にかからないように、窓の幅よりも広く取り付けますが、ベッドや机とぶつからないか、照明スイッチと干渉しないかなどを設計中に考えておく必要があります。

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2.ローマンシェード
ローマンシェードは窓の前面(室内側)に垂らした布やレースを上げ下げさせる窓装飾です。布を垂らしたときはヒダがなくなりスッキリした印象になり、比較的小さな窓に向いています。例えば子供室の掃き出し窓にカーテンをつけた場合、小窓にロールスクリーンをつけるとちぐはぐな印象の部屋になってしまいます。小窓にはカーテンとまったく同じ生地でローマンシェードをつけることでインテリアの統一がはかれます。価格は高めで、洗濯や生地交換はカーテンほど容易ではありません。

<設計時に押さえておきたいポイント>
ローマンシェードは窓を覆うようにつけるので、窓上部の壁にビスの効く下地や、外付のBOXを用意しておきます。BOXは壁から飛び出すので、クローゼットの扉を開けたときに干渉しないかなど注意します。[下地やBOXについてはカーテンの場合も同じです]

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3a.ロールスクリーン
ロールスクリーンは、布を窓の内側(室内側)上部に巻き取りながら上下させるもので、極めてシンプルな機構です。巻き上げると10cm弱の円筒形にコンパクトに収まるので、すっきりした窓周りにできます。
布一枚(シングル)でつけるのが普通なので、開けるか閉めるかとなり、調光と眺望コントロールを同時にしにくい窓装飾です。故障は少なく価格はお手頃です。

<設計時に押さえておきたいポイント>
外の視線が気になる場所では、せっかくの窓にいつもロールスクリーンが下がっていることになり、閉塞感が生じてしまいます。風通し窓では、風によって布地がバタバタしてしまうため、ガラスを型板(半透明)にして、何もつけない方が良い場合もあります。
上部にロール部分が隠れる大きさのBOXを作っておけば、布を巻き上げたときには見えなくなり、視線が外の風景に自然に向かうためピクチャーウインドウにはお勧めです。

 

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3b.調光ロールスクリーン「ハナリ ha.na.ri」
フロントレース生地、スラット生地、バックレース生地の3層を立体的に組み合わせ、ブラインドと同じように調光、眺望コントロールを可能にしたのが調光ロールスクリーンの「ハナリ」です。景色が透けて見え、光が柔らかな窓辺をつくることができます。

<設計時に押さえておきたいポイント>
調光ロールスクリーンは、光と眺望の調整ができるので、リビングやダイニングの大きな窓にも使いやすく、ロールスクリーンと同じように上部にBOXを作っておけば、開けたときには見えなくなるため、内外の連続感はより高まります。スラットの間に入るホコリの清掃が難しい点は課題です。

 

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4a.ブラインド
ブラインドは水平に連なる羽根の角度を変えることで、光と視線を同時にコントロールできます。羽根の種類は色が豊富なアルミ製のほか、丈夫で遮熱性も高い木製のブラインドや布製のブラインドもあります。ブラインドは一般的には下げたまま使い、窓枠内に収まるのでカーテンと比べてスッキリとした印象の窓になります。アルミ製は低価格です。水平の羽根(スラット)にホコリが溜まることは避けられないので、この掃除の手間が選択の大きなポイントになります。

<設計時に押さえておきたいポイント>
ブラインドをテラスやバルコニーに面した掃き出し窓につけると、出入りする時にスラットを上げ下げしないといけないので不便です。風通しを考えている窓では、窓を開けたまま使うと、羽根が揺れて窓枠を傷つけたり、カタカタと音がすることがあります。ブラインドを窓上枠に直接つける場合には、網戸と干渉しないか、窓の開閉装置(ハンドル式)とぶつからないか、設計時に注意が必要です。

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4b.バーチカルブラインド
バーチカルブラインドは垂直に連なる羽根(スラット)の角度を変えることで、光と視線を同時にコントロールできます。縦ラインがスッキリした印象を生み、モダンなインテリアに合います。スラットの間にレースをいれたものは、シャープすぎず柔らかさも兼ね備えていています。価格は高めです。

<設計時に押さえておきたいポイント>
バーチカルブラインドを全開した時のたたみ代は、幅の広い窓では30〜40センチ程度になるので、視線の邪魔にならないか、出入りの動線と重ならないか確認します。窓枠内におさめる時は、掃き出し窓の開閉用に大きなハンドルを選ぶと、バーチカルブラインドのスラットと干渉するため、設計時にサッシを含めた納まりをよく検討しておく必要があります。

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5.プリーツスクリーン
布や紙を蛇腹状に折ったプリーツスクリーンには和の雰囲気があるため、畳のとの相性もよく、和室などによく使われます。レース地や遮光タイプのほか、上下で生地や色を変えることができるツインスタイルなど多種多様な機種が生まれていて、今後の可能性を期待させます。機構が複雑なものは価格は高めです。

<設計時に押さえておきたいポイント>
プリーツスクリーンはたたみ代が大きいので、全開した時に全て隠そうとするとBOXの深さ(高さ)が大きくなります。必要寸法をカタログ調べ、実際に取り付けできるかメーカーに確認しておきます。

 

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6.ハニカムスクリーン
ハニカムスクリーンは断面が六角形のハニカム(蜂の巣)が連続する構造で、上に畳んで仕舞います。立体生地の中高層があることで断熱効果がとても高く、壁よりも断熱性が低い窓からの熱損失を少なくできるので、光熱費を抑えることも期待できます。

<設計時に押さえておきたいポイント>
ハニカムスクリーンでも、上に畳んだときに収まる大きさでBOXをつけておくと、全開したときには見えなくなり、内外の一体感が高まります。窓枠内に取り付けるので、ロールスクリーンやブラインドと同じく、窓の開閉用に大きなハンドルを選ぶと、ハニカムスクリーンと干渉してしまうため、設計時にサッシを含めた納まりをよく検討しておきます。

 

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最後に、注文住宅ではカーテン・ブラインドは別途工事となり、建て主の方が別のカーテン業者さんに直接依頼されて、その業者さんが施工されることも多くみられます。しかし、快適で心地よい住まいをつくるには、設計時点で生活をイメージしながらカーテン・ブラインド等の選定を行い、BOXなどの納まりや取り付け方法を含めて総合的に考えておくことが大切です。

建築家との家づくりでは、カーテン・ブラインド等の窓装飾について相談に乗ってくれる設計者がほとんどです。生活に合った機種を選定し、好みのインテリアをキレイに実現させるために、ぜひ、相談してみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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著者情報

石井 正博 + 近藤 民子石井 正博 + 近藤 民子

石井 正博 + 近藤 民子 いしいまさひろ こんどうたみこ

設計事務所アーキプレイス

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