輸入品がヤバい。@清水禎士+清水梨保子
現在、建設中の住宅ではベルギーのデザイナー、Axel Vervoordtがデザイン担当しており、彼が指定、制作した輸入品を数多く使用しています。
その中のひとつはフローリングです。
フローリングが兎に角大きい。幅はさることながら長さも。日本の規格では長さ1.8m程度で幅が120㎜が標準で長くても3mくらい、幅も30㎝となれば超幅広と大騒ぎです。ところが今回輸入されたのは幅が狭いもので45㎝、広いもので80㎝ぐらい。ぐらいというのは同じ幅のものはひとつも無く、しかも、まっすぐではありません。長さに至っては部屋の端から端まで1本ものなので、最長で6m程度になります。
本当にそんなものが存在するのかと疑心暗鬼でしたが、設計中にベルギーまで見学に行ったら確かに存在しました。指定されたホテルに宿泊したら、そこのロビーでは幅は45㎝程度ではあったが長さは普通じゃ考えられないくらいの長さでした。
設計当初は日本でもそのくらいの大きさ、長さのフローリングを探しておいて欲しいと言われ、方々のフローリングメーカーに問い合わせをしたら相手にもされず、結局は輸入する事となりました。
設計は良いとして実際の現場への搬入はどうしようか。今回担当した工務店も初めてのことなので、現場までの道路状況、図面上での搬入経路のシュミレーションをしたところ、道路はなんとかなるとしても建物内の指定の場所までにはどう考えても入りきらないということが解りました。そうなると、これらの材料を室内に搬入する為の計画も必要となります。この住宅は鉄筋コンクリート造なので、床や壁に搬入専用の穴(ダメ穴という)を計画し、躯体が立ち上がったら一番始めにそれら大物を建物の中へ入れ、その後にあけた穴を塞ぐという方法で対応しました。
現物が現場に届いたら、モノが大きいだけに現場の職人さん総出で1枚ずつ現場に運び込みます。最悪、切る事も覚悟していたがなんとか予定通りに搬入が出来たので一安心しましたが、コンクリートむき出しの状態での搬入のため、内装工事が始まるまで現場に保管しておかなくはならず、それにも気を使いました。
実際敷いてみたところ、室内にいるというよりも屋外にいる感じです。とは言え、それらのフローリングを敷いた部屋も比較的広いため違和感を感じる事はありませんが、1枚が大きいため床のラインがその分少なく、柔らかい雰囲気ながら静謐な空間となっています。
日本の狭い土地柄、ましてや建設地が渋谷区神宮前という密集したところでの建物であり、私たちが通常考えるスケール感を飛び超えたベルギーのデザイナーのスケール感覚が、結果的にこれまで経験した事のない空間を作り出しています。
他にも輸入品が数多くあるので、それらの紹介は次の機会にでも。
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