リフォームで断熱改修 断熱材の特性や結露に注意@磯村一司

今週のバトログを担当します「ギルド・デザイン一級建築士事務所」の磯村です。

今回は、リフォーム・リノベーションで、お願いされることの多くなった断熱改修の話です。

前回お話しした新築マンションのリノベと違って、30年を超える築年数の長い住宅では、断熱についてほとんど考えられていない時の建物です。

当時と違い、省エネ、ゼロエネとかいわれるように、断熱について、社会的な関心が強まり、地球環境的にも、また健康面からも必要性が求められるようになると、クライアントから断熱性の高い家にしてくれという要望は多くなり、高齢者のいるご家庭では、切実なものとなっています。


*上の写真は断熱性を高めることで、間仕切り壁をなくし、広いLDKを実現した事例です。
「中庭を造る減築リフォーム」

省エネ意識の高まりとともに、断熱・気密化についての経験・研究も進んでいます。断熱により起こりうる問題も検討され、工法の多様化、価格の安定化が図られています。
実際には、多様化した断熱工法においては、まだまだ過渡期的な部分もあるようで、絶対という工法はないように思われますが、押さえておくべき基本的なことは、明らかなようです。

リフォームにおいても、新築とほぼ同じように断熱材を使うことができますし、断熱性を表すQ値とか、Ua値のレベルを同様に高めることもできるのですが、既存部分を残した上でのリフォームとしては、考えておかないといけないことがあります。

ひとつは、結露問題です。

木造、鉄骨造、RC造、どの建物においても、結露とそれによるカビやダニの発生などによる室内空気・室内環境の悪化については、十分に検討しておかないといけません。
カビやダニは、人にアレルギー問題を引き起こしますし、木造などでは建物を劣化させ、断熱性もダウンさせます。

それには、断熱材の特性と結露が起きるメカニズムを十分に知っておくことが大切です。

*左は、RC造の建物の現場発泡の硬質ウレタンフォームの施工写真です。
外壁とヒートブリッジを抑える折り返し分の断熱がされている事例です。
「アジアンテイストリフォーム」

 

前述したように、築年数の古い建物では、断熱材が使われていないことが多いですが、RC造では、内断熱として、現場発泡のウレタンフォームがよく使われます。
それには意味があって、大きな建物での施工性の良さもあるのですが、ウレタンフォームの持つ吸湿性の低さです。

硬質ウレタンフォームのA種1、2は湿気を吸いにくい断熱材です。
問題となるのは、安価だからといって、グラスウールなどの湿気を通す断熱材を使うことです。
室内からグラスウール内に入った湿気は、外壁のコンクリートでせき止められます。
逃げ場のなくなった水蒸気は、グラスウール内のどこかで結露を発生させることになります。
発生した結露はグラスウールの断熱性能を下げ、水分が抜けにくいために水が留まり、カビを発生させることなります。
現場発泡のウレタンフォームでも、木造に使うA種3は、吸湿性があるため、安価ではありますが、RCには避けるべきです。

鉄骨造のリノベーションで考えておくことは、鉄骨の熱伝導率の高さです。
鉄骨は熱を伝えやすく、外気の寒さを室内まで引っ張ってきてしまいます。
やはり外壁が湿気の抜けにくい構造であれば、断熱材の選択検討は必要で、ウレタンフォームの吹き付けが有効ですが、熱橋を防ぐために、コンクリートが外壁と数十センチくらいまでの折り返し断熱で良いのに対して、室内に伸びる鉄骨まで断熱材で包み込まないと、断熱性能の確保が難しいということです。

*鉄骨の梁はこんな風に室内の天井に伸びています。
普通は天井で隠れていますが、こんな風に広がっているので、外から冷たい温度を内部まで引っ張ってきて、天井内部が冷気の溜まり場となります。


*上階の床を支える構造である鉄骨全体に吹付けた事例です。
*複雑な形の鉄骨を包み込むように断熱するのは、断熱材の量がかさみ、費用もかかります。

最近ではEPSボードというものが普及してきて、外断熱が比較的安価に出来るようになってきました。鉄骨造リフォームの場合でも、外壁工事をすることができれば、EPSボードによる外断熱の採用で、鉄骨の熱橋による断熱性能の低下や結露リスクを回避できます。

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