『間取りの模範回答』寝室を分けるなら、気配くらいは感じられる程度に@小林眞人-その2

建築家31会の新刊『間取りの模範解答』P64〜P65 に、

小林眞人の設計した個人住宅の間取りが掲載されています。

誌面では伝えきれなかった解説や完成写真などを加えて、解説致します。

 

 

 

この事例は階により完全分離した二世帯住宅の1階親世帯の部分になります。

私の経験では住宅に対する要望で年齢があがるにつれ、夫婦別寝室の要望が高くなってきます。

夫婦関係の悪化ということではなく、個々の睡眠の質を向上させたり、

ライフスタイル・生活時間のズレや健康状態に応じた選択肢としてその要望が高まるのです。

ただ、さらに高齢になってくると互いの健康状態を気遣う必要が生じてきます。

別寝室にすることでよりストレスなく生活できているのですが、

逆に気づかないうちに体調の変調をきたすという危険性も

考慮にいれざるを得なくなってくるのです。

 

そう考えると仕切り・分離の程度を状況により可変できることの重要性が高まり、

その具体的な方法として

2つの寝室を隣り合わせ、完全に仕切ることもできるし

気配程度判る様にドアを少しだけ開放しておく といった状況に応じた仕切り方ができる

のが引き戸だと考えています。

 

この事例ではこの引き戸をベッドの足元側に設け、クローゼット内に完全に引き込むことで

完全にオープンにした状態でも緩やかに分離をしています。

 

前ページ(P23〜24)の家でも

2階のベッドルームは同じ様に引き込み戸で分離可能な設えになっています。

著者情報

小林 眞人小林 眞人

小林 眞人 こばやし まひと

株式会社 小林真人建築アトリエ

『バランス感』と『素材感』を大切にした建築を心がけています。 全体とディテール、都市との関係、実用と芸術・・・ シチュエーションに応じて取るべきバランス点を見極めたいという思いです。

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