浴室から直接外に出ることができる住まい@滝川淳

日常的に湯船に浸かる日本人にとって、ホッと一息つく入浴の時間を豊かなものにすると、生活のベーシックな部分がグレードアップします。「豊かさ」は人それぞれなので、方法もいろいろあるでしょう。木の香りを大事にして壁や浴槽を木製とする。ジャグジー付きの浴槽にする。石やタイルなど内装の仕上げにこだわる。洗面やトイレと一体となった広い浴室とし、リビングの延長で使えるようにするなど。

今日は私が多く手掛けている、浴室から直接外にできることができる住まいについてお話しします。浴室に窓を付けることは一般的ですが、脱衣場からの出入り口の他に外に出ることができる開口部を設けることはあまり一般的ではないでしょう。どんなメリットがあるのでしょうか。

 

1 窓が大きくなり、解放的な浴室になる

2 浴室の洗い場を住まいの動線として考えられる

3 外遊び後の洗い場として浴室が使える

4 換気がしやすい

 

小さなお子さんがいるご家庭の場合は、泥んこで帰ってきたらお風呂から家にあげましょう、とか、夏のビニルプールがやりやすいですよね、といったこともお話ししています。とはいえ何と言っても窓ガラスの面積が大きくなり、解放的な浴室になること。これが最大のメリットですです。事例写真をお見せすると、カラスの行水だったご主人が突然浴室の重要性を語り出して、こちらの提案が受け入れられることも多いですね。

 

ただし直接外に出れるようにするにはプラン上の工夫が大事です。外が見える=中が覗かれることにつながるので、敷地内の配置から考えなければいけません。中庭に面する、庭先に塀を設けるなどして、プライバシーの確保が重要です。

 

ユニットバスでも同じような大きさの開口部を設けることは可能ですが、浴槽が接していない側の壁に限定されています。写真にあるような、浴槽とサッシが重なる位置には取り付けることはできません。脱衣室からみて、正面側に大きな開口部を開けることができるので開放性が高いと言えるでしょう。脱衣室側からの抜け感を出すには在来工法の浴室の方が適しています。

またこの住まいでは、外部にデッキを設け物干し場としています。日常的に浴室から外に出ることが前提となっています。

 

この住まいも外部の出入り口から先を物干し場としています。浴室だけでなく、脱衣からの抜け感を出すために、強化ガラスの間仕切りと開き戸で仕切っています。脱衣室のタイルも同じものを使うことでより大きな空間に見せています。

楕円形の浴槽をつかった事例です。浴室の外に坪庭を設け、屋外の植栽を見ながら入浴ができます。坪庭は外からの視線を完全にシャットアウトされているので、ブラインドを閉めることなく過ごすことができます。

 

両開きのドアを使った事例です。浴槽は床置きタイプを希望され、内外共に床を墨モルタルで一体的に仕上げています。

1階に設けることも大前提なので、計画の初期段階で決めないと、上手く納まりません。

よく考えて実行してみてくださいね。

滝川淳+標由理
コネクト 一級建築士事務所

著者情報

滝川 淳 + 標 由理滝川 淳 + 標 由理

滝川 淳 + 標 由理 たきかわ あつし

コネクト 一級建築士事務所

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