擁壁を建築と一体化する@前田敦

一般的に宅地造成工事は土木工事に含まれることが多いです。擁壁や擁壁兼用車庫等がそれに該当しますが、車庫という用途が発生すると法規的には建築に該当します。つまり土木機能を有した建築と言っても良いのでしょう。

この計画では、造成時に築造された鉄筋コンクリート造の擁壁兼用車庫がすでに存在していました。幸いにも開発申請時の書類が備わっていたために、合法的な擁壁であることが確認できました。さらに構造関係の書類がありましたので、コンクリートの配合計画や鉄筋の仕様や配置を把握することができましたので、新たに建築を融合させることが可能でした。

擁壁と一体化した建築物
擁壁がある敷地ですから当然のように段差が生まれます。写真右の階段は横浜市道ですが車は通れません。

既存擁壁に付属した急勾配の階段

敷地にアクセスできるのは左手の急勾配の階段なので、そのために比較的勾配の横浜市道の階段からメインアプローチを確保しました。

階段状の市道からのアプローチ空間

宅地造成工事で造られた既存の擁壁兼用車庫を活用した例ですが、2台分の車庫が用意されていたので、一つは車庫 もう一つは駐輪場と住宅用エレベーターを設けた勝手口として利用することで段差があるにも関わらずバリアフリーを実現しています

ホームエレベーターのある家

擁壁車庫から繋がったホームエレベーターが写真左手の場所に連絡します。この敷地は3m程度の段差が3段ある土地形状でしたが、その段差を生かした空間構成とし、ホームエレベーターを設置することでバリアフリーな住空間を実現しています。

段差のある敷地

土木であっても、建築であっても人々の安全で快適な生活を守る事業であることには変わりありません。
空間の境界を曖昧にするのが好きな私個人としては、土木と建築というカテゴリーも曖昧にした「融合」がこれからも主要テーマになりそうです。

擁壁が構造体として活用することができると建築費用の負担が軽減しますし、土地を効率的に活用することができます。しかし擁壁の申請書や検査済証が無いと単なる崖地として見なされることがありますので、そうなると構造的基礎として活用するのは困難になります。擁壁がある土地を購入される際には法的な書類があるかどうかを確認することが大切です。

2年前に手がけた住宅では、土地探しの段階で既存擁壁が違法に改造されていることがわかりました。不動産屋さんではそれに気づかれていませんでしたので、その旨を申し上げて、土地価格の交渉もうまく進みました。

また、擁壁の構造的根拠の無い場所では、擁壁に力の加わらない方法で家の構造体を計画することで家づくりを実現させることもありました。

建築家の多くは土地探しの段階から相談に乗ってくれます。不動産屋業者さんは土地や中古物件の売買が成立すれは仕事は終わりですが、建築家はそこでの生活の基盤を創り上げることが仕事なので、是非とも土地探しの段階から相談してみてください。

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