木造2階建て住宅建替えで問題解決して実現した建前上棟

建て替えのご相談をいただいた東京文京区の住宅の工事では、目出たく上棟の日を迎え構造骨組みが無事立ち上がりました。

今回の計画は問題解決の繰り返しで、一つひとつの問題に取り組み乗り越えられて進められて来ました。建て主様の完成への強く揺るがない意志には脱帽させられました。

  • 敷地所有の共有者さんとの 共有地の利用方針の許諾
  • 工事金額高騰による費用減額の規模縮小設計変更
  • ウッドショックによる木造材料の供給不足

などがありました。

敷地の共有地の利用方針の許諾

ひとつの敷地に複数の所有者さんが存在する土地で、法令を遵守して各々住宅を建て替えられる方針を定めました。

今回の建て主様と他の敷地所有者様達は当初、各々が所有している不動産については各々が独立している所有物であると認識していました。

しかし実際は一つの敷地を共有している状態で、共有者全員が定める方針を理解して許諾しないと家の建替えは出来ないことが分かりました。

皆で敷地を共有し新たに定める方針を皆様に説明しましたが、当初は説明する内容を受け入れて下さらない方もいました。

内容説明に回数を重ねるうちに状況を理解して下さるようになり、保有されている財産の実態と将来に皆様が理解と満足ができる様になり、方針に許諾をいただけるようになりました。その上で建替えが成り立った計画です。

 ▶︎ 関連解説記事「再建築建替え不可と言われた住宅を敷地共有者と同意で新築」

予算オーバーによる費用減額の規模縮小設計変更

工事金額は本来なら計画開始の時点である程度の想定が行われて、建物の設計は建主様の予算に合わせて建物の規模や内容を調整しながら進められますが、上記の共有地の許諾に関わる話し合いに 長い期間を要したために、建築コストが高騰してしまいました。

建主様の予算と建物の内容を合わせるためには、設計変更 (規模の縮小) が必要となりました。

ご家族の構成と暮らしのご希望を変えることは困難なので、建主様ご家族と話し合って、

  • 建物の規模面積
  • 建物の形
  • 各部の仕様

を各々 少しずつ見直を行い、予算内に収まるように設計変更が行われました。

 ▶︎ 関連解説記事「木造住宅工事金額の見積金額予算オーバーコストダウン減額設計変更届出」

ウッドショックによる木造材料供給不足

コロナパンデミックの影響で木造材料の輸入量が激減しました。それまでにもベニヤ板や発泡材が足りなくなったり、設備機器が無いということがありましたが、今回「木材がない」と想像もしなかった状況が起こりました。

主には北アメリカ地方から輸入されていた木造材料が少なくなり、当初は時期を待てば供給は戻る思われて時間を稼ぎ待つことにしましたが、長らく事態が変わることもなく、建主様にとって様々な悪い影響が出てくると判断して、供給復旧の前に建て方を始めるご判断をいただきました。

 ▶︎ 関連解説記事「木造注文住宅骨組みで受けたウッドショックと建主様の決断」

上棟

様々な問題解決を経て、木造骨組みが建ち上がるのを見ると、それまで図面や完成予パースなどの平面的表現から、実物の立体的空間となる変容は、実に感慨深く誠に感動的で、それまでの苦難を掻き消してしまうほどの存在感に包まれました。

如何に沢山の経験を重ねても、立体的な骨組みを身体で体感する感覚は、毎度 新鮮で、とてつもない高揚感を覚える瞬間です。

著者情報

北島 俊嗣北島 俊嗣

北島 俊嗣 きたじま としつぐ

株式会社北島建築設計事務所

お客様の貴重な財産である土地や建物を第一に守り、 より美しくデザイン性の高い豊かな建築環境を実現しています。

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