内外断熱の違いと断熱材発泡スチレンウレタングラスウール
住宅や施設建物で近来目覚ましい変化向上している効果のひとつに、断熱性能が上げられます。さらには利益追従からか、過剰な性能設定と思われるほどの内容宣伝も見受けられます。
求める断熱性能と断熱材の正しい使い方を理解して、費用対効果の高い断熱工事をしてください。
断熱の効果
そもそも建物の断熱とは、建物の屋根や外壁、地面に断熱材を施して、外部の温度環境を内部の環境に伝えずに遮断し、内部の温度環境を快適に維持するものです。
断熱の材料や工法が最適であれば、外部の温度変化に内部の温度が追随しないことになり、エアコン空調冷暖房設備の負荷が減って、光熱費が安くなり、設備の寿命も長くなります。
外断熱と内断熱
建物の断熱材の設置場所によって、全く同じ断熱材でも断熱効果の高低があります。
建物の屋根・外壁・地上階の床という外気面に接する部材の外側もしくは内側に断熱材は通常設置されます。
断熱材自体は部材が変わっても、途切れることなく連続的に設置されることが理想的です。
すると、建物の敷地の位置や大きさによる建物に求められる防火性能を無視すると、外断熱の方が断熱性能は高くなります。可能なら外側断熱が理想的です。
しかし断熱材の可燃性と、建物に求められる防火性能によって、外側断熱を施すことが困難な場合が多い現実があります。
断熱材の課題
断熱材に利用される材料は、中に沢山の空気を内蔵出来る材料で、熱伝導率を低くしています。
逆に空気を沢山内蔵している材料なので、可燃性が高く燃えやすい材料となっています。
そのために、外壁や屋根に防火性能が求められる建物では、安直に外側断熱は採用出来ません。建物が建つ敷地が広く、建物に防火性能が求められない場合は外側断熱を施すことが可能ですが、建物に防火性能が求められる場合は、外側断熱は困難で、内側断熱にならざるを得ません。
どんな場所でも外側断熱ができるわけではないことは理解していただきたいと思います。
断熱材の種類
断熱材として利用されている材料には数種類あります。以下の違いがあります。
・断熱性能
・費用
・施工のし易さと確実さ
グラスウール断熱材
木造住宅をはじめとする、屋根裏や外壁内側に設置する「布団」状の綿の様な材料で、屋根や外壁が出来た後に施工充填が出来るので施工性が良く、費用も安価なので、広く利用されています。
湿気に触れると吸収して変形することが多く、断熱性能を失くしてしまうこともあります。
発泡スチレン断熱材
いわゆる発泡スチロールで、工場で成形加工された板状の材料が一般的です。気泡を含ませたポリスチレン(合成樹脂)を板状に工場で加工した材料です。板状で材料としての硬度もあるため、コンクリートを打設する前に設置されて、コンクリートを流し込んで密着させる方法も取られたりします。
板状のため、平滑な面での施工性は高く、逆に凹凸のある部分では施工性は低い材料です。
発泡ウレタン断熱材
工事現場に液体の状態で運び込み、現地で断熱材を施す面に吹き付けて、空気になって触れて発泡して断熱材として成形するものです。ウレタン樹脂に発泡剤を加えた原液剤を吹付けると発泡スチロールのように硬化するものです。
現場の状態に応じて吹き付けられるので、梁や柱の凸凹があったり、不整形な場所に容易に充填できます。
吹き付け量で断熱材の厚みも調整出来るので、特別に厚くしてもらうリクエストにも柔軟に対応していただけます。
連続的に施工出来るので、高い防湿性能も期待出来ます。水分をはじくので、水分に接触しても変形しないので、経年の劣化に心配がありません。
北島建築設計事務所では、条件が許す限り、この現場吹き付け発泡ウレタン断熱材を推奨しています。
→ 関連解説記事「和風二世帯住宅の内断熱発泡ウレタンと省エネ対策」
鉄筋コンクリート造の例
鉄筋コンクリート造の内側断熱の例です。ピンク色のモコモコしているものが断熱材です。
鉄骨造の例
鉄骨造の外壁ALC板と屋根金属折板材の面に吹き付ける内側断熱の例です。写真は屋根面に吹かれた状況で、この後、壁に吹付けられます。
木造の例
木造床下に設ける板状の発泡スチレン板材による外側断熱の例です。
木造外壁と屋根面の木パネル下地板への吹き付け断熱材による内側断熱の例です。現場吹き付けのために、梁や柱も吹き付けることが出来て、断熱材を確実に連続させることが出来ます。
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