調剤薬局付二世帯住宅の建替え中仮店舗営業と建物ファサード看板ロゴデザイン商品陳列内装インテリア

老舗 調剤薬局店舗の建替え

湘南大磯の国道1号線に面する場所に、戦後直ぐに開局した調剤薬局「ことぶきや薬局」様があります。既存の建物が老朽化したことで、建て替えることになりました。

建替えは家族が同居することとなって、ニ世帯住宅と薬局店舗を合わせて建てる計画になりました。

建替えを機に、老舗の薬局が抱える経営的課題を解決することが求められて、薬局の設計に合わせて経営的なご相談もいただきました。

個人経営 調剤薬局の課題

個人経営の薬局の課題とは、

  • 大資本の大型店舗型ドラッグストアが近隣に出来て、同様のサービスをしていると、お客様は大型店舗に行ってしまう
  • 国道に接しているのに駐車場が離れているせいか、車で来るお客様が少ない
  • 処方箋を出す診療所が近隣にない

というものでした。

これらの経営的課題を解決するために調剤薬局店舗の設計が始まりました。

 →関連記事「調剤薬局店舗の経営ブランディングと広報広告宣伝看板サイン」

隣地駐車場に仮店舗を設ける

建て替え薬局の設計と同時並行で、建て替え工事中には仮店舗で開局して営業を継続することとされ、仮設薬局を設けることになりました。

他の周辺のテナントで開局することも検討されましたが、近隣で駐車場として利用している場所に仮設店舗を建てて、薬局を工事期間だけ移して営業を継続されることになりました。建て替えの建物が完成した後に薬局が再び移る方法になりました。

 →関連記事「調剤薬局の建替え工事中に仮設薬局店舗を建てる」

プレハブメーカー様が提供している建物を合法的に設けるには建築確認申請を届出なければいけません。設ける建物は仮設であり短期間のものなので、出来る限り費用を抑えたいと言う薬局様のご希望でした。

建築確認申請に適合する仮設建物は予算的に見合わないと判り、建築確認申請ではなく「許可申請」を行うことで金額が安い仮設建築物を建てることにされました。

 →関連記事「仮設調剤薬局建物を通常確認申請か許可申請か」

新しい調剤薬局の集客の工夫

調剤薬局の新たな経営基盤を確かなものにするために、建替えないと解決出来なかった老舗の薬局の課題を各部分について相談しながら設計が進められました。

実家に戻って二世帯住宅に建て替え:薬剤師が4人居る薬局

今回の建替えで、薬局様にとって大きな変化は、ご主人夫妻のご子息夫婦家族が実家に戻り同居することです。さらにご主人夫妻はお二人とも薬剤師で、さらに戻る若夫妻もお二人とも薬剤師で、「ことぶきや薬局」様には4人の薬剤師が居るということです。

薬局にいるもの全てが薬剤師という特徴を活かして、性別や歳を気にしないで体調などを相談できることを強みにして、来局される皆さんのご心配を安心に替える薬局になれることを目指されました。

カウンターで相談出来る薬局

薬局店舗に入り、すぐに分かる処方箋を受け付けたり薬を受け取れるカウンターに、隣接する形で「相談カウンター」が設けられました。

対面で着席して相談できる場所で、体調の相談と相応しい薬の説明をするために薬品の陳列棚が直近に設けられました。

調剤薬局処方箋受付相談カウンター

調剤薬局処方箋受付相談カウンター

商品薬品の陳列

陳列される薬品は、販売されているもの全てを密に並べることをしないで、薬剤師として自信を持って来局者さんにお勧めする薬品等を吟味して並べることにされました。

  • 密に並べると薬品の内容が伝わらので見やすく薬品商品を陳列する
  • 来客された方から質問や相談のきっかけを作るように薬品商品をあえて少なく陳列する

と考えた方針です。

調剤薬局内装インテリア設計図商品陳列棚

調剤薬局内装インテリア設計図商品陳列棚

建物の正面外観と看板のデザイン

建物外観には、国道1号線沿いに建つ調剤薬局として、行き交う自動車に対して目立つようにすることが求められました。

  • 大手ドラッグストアとは異なる印象
  • 大磯という地域に建つ老舗薬局としての佇まい

が、求められました。

検討の結果、国道沿いに多数見受けられる「蔵」を抽象化して単純明快な形状による外観建物にして、行き交う自動車の方々への視線と記憶に残るようにしました。

 →関連記事「調剤薬局店舗の建物正面外観ファサード看板デザイン設計図」

調剤薬莢建物外観ファサードデザイン

調剤薬莢建物外観ファサードデザイン

薬局の名称にはロゴデザインを付け加えて、

歩道沿いには自立看板が建てられ、建物正面にも名称ロゴデザインが表示されました。

 →関連記事「調剤薬局店舗のロゴデザイン看板サイングラフィック」

お客様用駐車場

コンビニエンスストアのように店舗建物の直近に駐車スペースを設ける事は絶対で、建物本体は道路から交代して駐車場スペースが設けられました。

道路から駐車スペースに入場するには、歩道際の道路段差を切り下げる必要がありました。そのため国道1号線を管轄する国土交通省土木事務所に交渉して、出来る限り歩道の切り下げ幅を長くする届出をしました。

調剤薬局店舗駐車場道路切り下げ

インターネットを活用「空飛ぶ処方箋」

処方箋を発行する医院が近隣に数多ないために、離れた診療所で処方箋を出してもらった患者さんが自動車で家へ向かう際に、薬局で待たずに薬を受け取れる仕組み「空飛ぶ処方箋」を導入して、便利に「ことぶきや薬局」に立ち寄っていただくことにされました。

 →関連記事「処方箋調剤薬局店舗のインターネットホームページ集客の工夫」

診療所を終えた患者さんは、いただいた処方箋を携帯スマートフォンで撮影し、アプリ「空飛ぶ処方箋」を使って処方箋を薬局に送信します。薬局は受け取った処方箋により薬を調剤しておいて、患者さんは自動車で「ことぶきや薬局」に寄り、既に調剤されている薬を直ぐに受け取り帰宅することができます。

1つの個人経営の薬局の建替えで、建物外観、看板ロゴデザイン、道路面駐車場の設置と道路切り下げ、薬局内の間取りプラン、受け付け相談カウンター、薬品商品の陳列方法、そして工事中の仮設店舗 と、多岐に渡る検討と実現が行われた計画でした。

著者情報

北島 俊嗣北島 俊嗣

北島 俊嗣 きたじま としつぐ

株式会社北島建築設計事務所

お客様の貴重な財産である土地や建物を第一に守り、 より美しくデザイン性の高い豊かな建築環境を実現しています。

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