鉄の耐候性を活かし木造住宅の外回りに鉄骨フレーム組込み@石川 利治
同一の応力が必要な部位で「木」と「鉄」比べた場合、より部材を細くする事ができるのは「鉄」です。特に「鉄」の建築構造部材は工業製品化されているため、材料の重量を出来るだけ減らした上で、最大限の応力が発揮出来る様に設計されています。
代表的な例が「H鋼」と呼ばれる断面形状がアルファベットの「H」の形をした製品ですが、板状のエッジが表に見えているため先端が細くシャープな印象を与えます。
今回取り上げているK-HOUSEの中では、木造住宅の中でも特に構造フレームが外部にむき出しになっている部位に「鉄」を多く使っています。これは前述の部材をスレンダーにするためでもありますが、骨組みが風雨にさらされる状態で配置しているため、「木」より耐候性の優れた「鉄」に置き換えているという意味合いも多分にあります。
具体的な使用箇所としては以下になります。
- テラス前面に設置した縦格子を支えるフレーム
- アプローチ部分の独立壁と本体を繋ぐ振れ止めの梁
- バルコニー床を支える柱
テラス前面の縦格子の部材は、見付25㎜×奥行75㎜×長さ3000㎜の再生木によるルーバー材です。これを上端と下端で固定し中間に振れ止めを1カ所設けています。上端に関しては、長さ約5Mの部材を空中に飛ばす必要があるのですが、この梁にH鋼を使い部材断面がスリムになる様にしています。
H鋼の両端は木構造のフレームに緊結されているのですが、それに加え中間にも鉄の板によるポスト柱を設け支持している梁背を抑えるとともに、振れ止めの固定材としても機能させています。
木軸と鉄骨フレームの取合い。鉄骨ポスト柱は鉄板を組み合わせた製作品。
丸鋼とカプラーを組み合わせたルーバーの中間振止めディテール。
鉄部材で注意すべき事としては酸化(=錆)があります。多くの場合は表面に錆止めのために塗装を行いますが、今回は亜鉛メッキを行いました。上空の高い位置に部材がある事や、多くのパーツが鉄に取合っており再塗装が難しい事を考慮しメンテナンスフリーとしております。
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