土地購入してロフト付賃貸アパート併用住宅木造耐火建築を住宅ローンで建てる
土地を購入して、アパート併用住宅を建てる
三十歳前半のお若いご夫妻が、新たに土地購入からはじめて住宅 兼 賃貸アパートを建てた計画です。計画には大きく以下の課題段階があり、順々にクリアして進められました。
- 土地探し と 購入
- 住宅 と 賃貸アパート の間取りプラン
- アパートでも住宅ローンを利用する条件のクリア
- 防火地域内の木造耐火建築物
- JR南武線路沿の建物振動騒音対策
- 賃貸満室を確保するためにロフトを最大限利用する
ひとつの課題でも時にはクリアすることが困難な場合があります。それがひとつの建物の中に含まれて出来ました。
各々の概要を下記にしましますが、各々の詳細な説明記事はリンクで繋がり掲載されていますので、是非ご覧ください。
土地探し と 購入
土地の値段は首都東京では非常に高額で、土地を購入して新たに建物を建てる場合、購入に必要なお金は、ご自身の収入に比較すると驚くほど高額な金額になります。
新たな土地に建てる建物に必要な費用は、その建物の面積と骨組み(構造)の種別によって比例換算出来ます。
すると土地の値段が総費用の高安に関わることは明らかです。
そこで若いご夫妻は、出来る限り安い値段の土地を探されました。首都東京で安い値段の土地の条件と言えば、
- 電車の駅から徒歩で遠い場所
- 狭小地
- 変形地
- 旗竿地
- 建築不可地
- 傾斜地がけ地
が、候補となります。
若いご夫妻はご自身のお住まいに、賃貸アパートを合築する予定でしたので、電車の駅から徒歩で辿り着ける土地を探して居られました。
土地探しを続けられて、値段の安い土地で、候補地となったのは JR中央線南武線 立川駅から 徒歩10分内の 南武線の線路沿いの土地でした。
土地の値段としては条件が揃ったため、
- 電車線路沿いの振動騒音
- 防火地域内の耐火建築物
の対応は、建てる建物でクリアするという前提で、土地を購入されることになりました。
住宅 と 賃貸アパート の間取りプラン
若いご夫妻は、土地を購入してアパート併用住宅を建てる費用を金融機関(銀行)から借り入れる予定でした。
借り入れた費用は、併せて建てた賃貸アパートの家賃収入を返済費用に充てることを考えておられました。
購入候補となる土地情報が判明したときに(後の記事の住宅ローンを利用する条件と合わさります)
- 住宅部分の面積
- 賃貸部分の面積
を考慮して、2階建ての半分を住宅、半分を賃貸として、下階を住宅、上階を賃貸にする方針にされました。
広さとして賃貸部分は、2戸のワンルームを合わせ計画することになりました。
アパートでも住宅ローンを利用する条件のクリア
土地+アパート併用住宅建設 の 費用の融資を金融機関にお願いする際に、住宅ローンでお願いする方針にさrwました。理由は金利(返済利子)が事業ローン(賃貸建物を建てる際の融資)より安価だからです。
住宅ローンになる条件は、
- 住宅部分の面積 > 賃貸部分の面積
でした。(金融機関によって詳細な条件は異なる模様です)
設計事務所として柔軟に対応できる部分(お住まいの間取りプランのご希望と、賃貸部分のご希望を実現して)調整して、条件をクリアし、費用の融資を住宅ローンで借り入れできることになりました。
防火地域内の木造耐火建築物
新たに購入した土地は、JR中央線南武線 立川駅から 徒歩10分内の 近い土地だったために 繁華街の近い場所でした。
繁華街に近い場所のためか、都市計画法上の指定で「防火地域」の土地で、建物は火災が起きた場合、隣接する土地で火災が起きた場合に、延焼しない建物にしなければならない場所でした。
今回の建物は、その面積規模によって「耐火建築物」にしなければならなくなりました。
計画全体費用から、建物本体は「木造」で建てることが必須でありました。(鉄筋コンクリート造では費用的に建てられない)そこでこちらの建物は「木造耐火建築物」で造られることになりました。
今は「木造耐火建築物」は通常に定められた方法で設計と工事が出来ますが、こちらの計画が始まった当時は、偶然でも「木造耐火建築物」が法令で認められた直後で、こちらの建物も立川市内で第一号の「木造耐火建築物」でした。
JR南武線路沿の建物振動騒音対策
土地はJR 南武線 線路沿いです。始発時間から終電時間まで、電車が引き切り無しに往来します。土地が更地の時は、電車の通過音で会話は出来ない状況まで音と振動が広がります。
木造の建物で、電車の振動と騒音を出来る限り遮断することが求められました。
鉄筋コンクリート造と比べて木造建物は重量が軽く、外壁面や基礎の面的質量も小さくなるので、遮音性能は劣ります。
ただし今回は「木造耐火建築物」による木造構造体を耐火材料で囲い込む工法でしたのでそちらと相まって多少でも重たい=振動しない建物にすることができて、さらに線路側の開口を極力小さな窓にして遮音性は高められました。
若いご夫妻も当初は心配な模様でしたが、完成後はご満足いただけました。
賃貸満室を確保するためにロフトを最大限利用する
建設に必要な費用を融資を受けて確保され、その融資の返済に賃貸アパートの家賃収入を充てる計画をされた際には、当然その前提はアパートが常に満室であることが至上命題になります。
限られた条件=敷地の広さによる住戸の面積を、入居者さんに価値あるものにするためには、各住戸にロフト(天井高さが1.4メートルの屋根裏部屋)を設けて、ワンルーム賃貸でも容積の大きいリビングと利用形態の幅を広くできるようにしました。
同じ賃貸面積でも、ロフトが水回り部屋の上部に重なることで、リビングが通常の天井高よりも高くなって容積がとても大きい住戸になりました。
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