リフォームとリノベーションのちがい@中西ヒロツグ
今でこそ一般的になった「リノベーション」ですが、その意味をちゃんと理解して使っている人はどれだけいるでしょうか?最近は不動産広告でも「リノベーション済み」などと書かれているのをよく見かけますが、実態は内装や水廻りを更新しただけのリフォームがほとんどで、少しイメージが先行している感があります。
そもそもリフォームとリノベーションの違いは工事規模の大きさだけではなく、リフォームが当初の性能や機能の回復を目的としているのに対し、リノベーションは既存の建物に新しい価値を生み出すことを目的としています。そのためリノベーションでは、既存建物のポテンシャルを分析し、活かすアイデアが求められます。ただ古いものを利用するだけでなく、その魅力を高めて新たな価値を生み出すリノベーションだからこそ、建築家の能力が必要とされているのです。
このようなリノベーションでは、既存建物へのリスペクトが不可欠です。どのような建物でも、建築に携わった人々の努力が少なからず詰まっています。その思いを感じられなければ、建て替えたほうが良いでしょう。つまりリノベーションとは造り手たちの思いを継承し、彼らとコラボレーションする気持ちが求められます。
しかもリノベーションは、プランやデザインの変更にとどまりません。その最たる例が「コンバージョン(用途変更)」です。従来の使い方が時代に合わなくなったものを、その地域に求められる用途や性能に合わせてリノベーションする行為です。
土地にしがみついて用途を限定すれば、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」のように、劣悪な環境で我慢を強いられることになります。都市の変化や技術革新が激しい昨今、時代や環境に合わせて建築をカスタマイズするアイデアも求められています。
つまり「リノベーション」とは、「建物の価値を最大化する」ということです。ぜひ建築家のアイデアを活用し、建築のレガシーを受け継いでいただきたいと思います。
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7/26(土)自然素材の木の家「江戸Styleの家」見学会・相談会のお知らせ @小泉拓也+栗原守
自然素材の木の家「江戸Styleの家」見学会・相談会を7月26日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。無垢の木や珪藻土などの自然素材でできた約27坪の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいです。約20年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。 住宅展示場の大手ハウスメーカーのモデルハウスとは全く違う空気が流れる木の家の中でゆったりと流れる時間を体感してみませんか...