リフォームとリノベーションのちがい@中西ヒロツグ
今でこそ一般的になった「リノベーション」ですが、その意味をちゃんと理解して使っている人はどれだけいるでしょうか?最近は不動産広告でも「リノベーション済み」などと書かれているのをよく見かけますが、実態は内装や水廻りを更新しただけのリフォームがほとんどで、少しイメージが先行している感があります。
そもそもリフォームとリノベーションの違いは工事規模の大きさだけではなく、リフォームが当初の性能や機能の回復を目的としているのに対し、リノベーションは既存の建物に新しい価値を生み出すことを目的としています。そのためリノベーションでは、既存建物のポテンシャルを分析し、活かすアイデアが求められます。ただ古いものを利用するだけでなく、その魅力を高めて新たな価値を生み出すリノベーションだからこそ、建築家の能力が必要とされているのです。
このようなリノベーションでは、既存建物へのリスペクトが不可欠です。どのような建物でも、建築に携わった人々の努力が少なからず詰まっています。その思いを感じられなければ、建て替えたほうが良いでしょう。つまりリノベーションとは造り手たちの思いを継承し、彼らとコラボレーションする気持ちが求められます。
しかもリノベーションは、プランやデザインの変更にとどまりません。その最たる例が「コンバージョン(用途変更)」です。従来の使い方が時代に合わなくなったものを、その地域に求められる用途や性能に合わせてリノベーションする行為です。
土地にしがみついて用途を限定すれば、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」のように、劣悪な環境で我慢を強いられることになります。都市の変化や技術革新が激しい昨今、時代や環境に合わせて建築をカスタマイズするアイデアも求められています。
つまり「リノベーション」とは、「建物の価値を最大化する」ということです。ぜひ建築家のアイデアを活用し、建築のレガシーを受け継いでいただきたいと思います。
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中野区の「自然素材の平屋の木の家」は平屋の約33坪の住まいです。建築主さまのご厚意により2025年9/20(土)完成現場見学会を開催させていただくことになりました。リビングダイニングとつながる大きなデッキテラスで内と外の暮らしを楽しむことができる平屋の木の家です。 無垢の木や左官の薩摩中霧島壁、沖縄の月桃紙、天井のくりこま杉などの自然素材でできた温かく気持ちのよい空間の雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 家づくりを検討中の方のご参加をお待ちしています。時間指定で3組限定の見学...