地下コンクリート駐車場に増改築住宅を作る。@磯村一司

今週のリレーブログ担当のギルド・デザインの磯村です。

ギルド・デザインが担当しているブログでは、リフォームの話が多くなってきていますが、今回も住宅の増改築の計画についてのお話です。

最近の建築業界は、オリンピックや都心部の再開発、震災・災害復興、国土強靭化計画、さらに、大型マンションの計画も続いていているという活況を呈している一方で、空き家問題、古くなった建物を、どのように社会資産として活用するかという問いも、投げかけられています。

空き家住宅を含め古い建物は、確認申請をとおしていても、建物の完了検査を受けていない建物(検査済証のない建物)がかなりあり、これらは違反建築扱いにされかねない状況です。

違反建築の状態では、増改築、リフォームをすることが原則できません。

それらの検査済証のない建物を活用していくこと、耐震化や防災化の強化をすることは急務であり、行政庁の窓口だけでは、多くの建物に対して審査を行うのが難しい状況でした。国では、この審査をできるだけ円滑に進め、資産として使用可能な建築物を有効活用するために、民間審査機関が審査を行うことを可能とするために、「建築基準法適合状況調査のためにガイドライン」を策定しました。

現在、ギルド・デザインでは、検査済証のない飲食+宿泊施設の増改築のお手伝いをしていますが、このガイドラインが出てきたことで、行政の対応も柔軟になってきたように感じています。

中小規模の住宅であれば、申請を行わずにリフォームや大規模な修繕をおこなっていますが、それも実は検査済証がある建物であれば合法ですが、検査済証がない建物については、違反扱いにされかねません。

前置きが長くなりましたが、今回、増改築事例として紹介する住宅は、崖地を生かして地下駐車場を造り、その上に木造住宅を建てていたお宅の増改築計画です。
地下の鉄筋コンクリート造の駐車場はそのまま残し、地上部分の木造2階建を解体して、新築二世帯住宅に作り変えようという計画です。木造部分は新築であっても、地下駐車場を残すということで、申請上は増改築計画となります。

実はこの住宅は、完了検査を受けていて検査済証がありました。そのおかげで、かなりの審査に必要な書類、図面類の作成手間などを省くことができましたが、検査済証がなくても、同じような現場調査をおこなわないといけません。

その一つが、既存建物の調査です。
建物を長く使っていれば、申請していない改装があるかもしれません。劣化が進んでいるかもしれません。建物の現在状況が、確認申請時の法規制に違反していないかの確認の調査となります。

間取りなどの変更は、確認申請図面と照合すれば、わかりやすいのですが、構造については、仕上げの中に隠れているので、少し厄介です。

調査では、建物の大きさの測定だけでなく、地下構造体としての鉄筋とコンクリートの調査も求められました。検査済証があるのですから、構造についても違反性はないのですが、古いコンクリート構造体に新しく木造建築物をのせるのですから、慎重に越したことはありません。

鉄筋については、コンクリート表面からの超音波探査で鉄筋位置を確認し、確認申請図との整合を行います。
コンクリート表面に探査装置を移動させ、超音波により鉄筋の位置を探します。主要構造部である柱や梁、壁などに、写真のように鉄筋のピッチを記していき、確認申請構造図と照らし合わせます。

*コンクリート表面に鉄筋探査機を滑らせることで、レーザーが鉄筋に反応して、モニターに波形が現れます。

コンクリート強度については、行政からは、コンクリートを切り出して(コア抜き)圧縮検査をすることが求められましたが、検査済証があるということで、正確ではないものの非破壊で強度調査をするシュミットハンマー試験での代用が認められました。
検査済証がない場合、民間では審査機関の判断にもよりますが、行政では、コア抜き検査や破壊による鉄筋の確認を求めるところが多いようです。

この住宅のように、崖地を利用して地下駐車場を造り、その上に木造を建てている住宅は、それなりの数あるものですが、今回この計画をお手伝いすることで、この種の住宅の増改築のノウハウが見えてきました。

現在、この住宅は確認申請中です。
新築であれば1月ほどで、確認通知が届きますが、このような増改築では時間がかかり、行政からは3ヶ月の審査期間が必要と伝えられています。
既存状況の調査のための時間を合わせると、半年ほどの時間がかかることとなります。

検査済証がない場合は、もう少し時間と費用を必要としますが、地下駐車場付き住宅の増改築計画も諦めずに進めることができそうです。

ギルド・デザイン一級建築士事務所 磯村

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