富士登山と友人の新作 @松永基
8月の終わりのある日。僕は後輩の建築家と八ヶ岳に向かっていた。友人の建築家 市川創太君の新作を見る為だ。
その別荘は八ヶ岳の別荘地の中に佇んでいた。全体の半分を地下に埋めている。
これは、室内に入ると目線がグランドレベルとなって飛び込んでくる。
ある点とある点の合理的な関係性をコンピュターによってシュミレートし、何億もの演算をし、その中から一つの正解を出す。COPPORA in SITE 彼が長年やってきた手法だ。
なにより、その手法ではなく、僕は彼のアウトプットが好きで。
それは、美しく楽しいからだ、この家には風が抜け、自然と一体になった理屈ではない快適性があるからだ。
その足で一旦鎌倉に帰り、バタバタと仕度をして、夜9時近く、予定より2時間遅れて富士山に向かう。4時間前に通ってきた道だ。駐車場から入場規制の為タクシーで5合目富士宮登山道入り口に。
富士山の登山道の中では一番短い・・ということは一番一揆に登るということだ、登山道入り口のガイドのおじさんにも2時間は休んでから登り始めるように!という忠告を背中にうけ、弾丸登山禁止の看板の前で記念撮影をして登り始める。丁度真夜中の12時だ。これが後での間違いのもとだ、7号目までは3時間、いいペースで登ってきたが、突然7.5合目(3200mあたり)から足が動かなくなる。心臓がバクバクしる。酸素をすってどうにか次の一歩を、8合目で友人二人(若者)に先に行っていいよ!と言い、一人でふっくり登り始める。3歩登ると心臓がバクバクする。酸素も吸い尽くし、一人でゆっくり登る、台風17号は九州に接近している。そこからの南西風がかなりきつい、ブローで風速20m、ダウン、ジャケットでも寒いくらいだ。8.5合目付近、突然、星も月も消え霧に包まれる。このまま山頂にいってもご来光は見えないな・・と一人ぼやく、なにより、3m先も見えないととても不安になる。心細くもあり、心も体力も萎え下山する。ところが15分も下っていくと東の空が明るくなってきた、少し急いで下る8合目鳥居付近は東に空が開けているのだ。
鳥居横の大きな岩の隅に丸くなってうずこもり、風を交わして一人空を見つ続ける。
空の色の変化は言葉では言い表せない。宇宙スケールの神様の仕業だ!!
そして、ついに東の雲から太陽が昇ってきた。暖かい!!
思わず叫ぶ「わぉーーーお!」
とても、とても、忘れることの出来ない。夏の終わりの32時間。
− 最新イベント情報 −
『間取りの模範解答』刊行記念セミナーのご案内 2025年11月14日(金)18:00~19:30
『間取りの模範解答』刊行記念セミナーのご案内 8月5日に発売された建築家31会監修の書籍『間取りの模範解答』の刊行を記念し特別セミナー(無料)を開催します。書籍で掲載された注目の間取りを紹介しながら、住まいづくりに関心のある皆さまが気になる、好かれやすい間取り・敬遠されがちな間取りの具体例やその理由などを、31会の建築家が講師をつとめ分かり易くお伝えするリモートセミナーです。スマートホンやご自身のパソコンなどから、どなたでも参加できますので是非気軽にお申込み頂きたいと思います。※セミナー申...





